深刻化する介護人材不足の現状と障害福祉分野への影響
日本は超少子高齢社会に直面しており、内閣府の予測では2055年に後期高齢者数がピークを迎えると見込まれています(※1)。これに伴い、介護業界では深刻な人材不足が課題となっており、厚生労働省の推計では2026年度に25万人、2040年度には57万人もの介護職員が不足すると予測されています(※2)。
この人材不足は、高齢者介護だけでなく、障害福祉サービスにおいても同様に深刻な問題です。支援を必要とする方々が増加する一方で、サービスの担い手となる人材の確保は急務であり、業界全体の持続可能性に大きな影響を与えています。人材不足解消のためには、無資格・未経験者の業界流入を促進し、潜在的な有資格者を掘り起こすとともに、人材の定着を図ることが不可欠です。
タイミーとベネッセキャリオスの戦略的提携:新たな人材確保の道
このような状況の中、株式会社タイミーと株式会社ベネッセキャリオスは、介護人材不足という社会課題の解決を加速させるため、戦略的業務提携に向けた基本合意書を締結しました。
タイミーは、1,340万人(2026年1月時点)の働き手を擁するスキマバイトサービス「タイミー」を運営し、ベネッセキャリオスは、7万を超える(※5)取引先事業所数を持つ介護・医療特化型HR事業を展開しています。両者が持つ基盤とノウハウを組み合わせることで、介護無資格・未経験者の業界流入と潜在有資格者の掘り起こしを実現し、統合的な支援体制を構築します。

スキマバイト「タイミー」が切り拓く介護・障害福祉の働き方
タイミーは2023年11月の介護業界特化チーム立ち上げ以来、介護分野でのスポットワーク利用を推進してきました。業界専門知識を持つ営業担当による事業者への伴走型支援(業務分解の提案、受け入れ・業務マニュアル作成)や、働き手の保有資格を確認できる「資格者証確認機能」などの機能強化を通じて、事業者と働き手の双方が快適に利用できる環境を整備しています。
スポットワークは、介護業界における人材確保の裾野拡大に大きな有用性を示しています。タイミーの調査では、介護業界でのスポットワーク利用は2025年10月時点で前年同月比約2.3倍と拡大傾向にあり(※3)、無資格・未経験層の7割以上が「スポットワークをきっかけに、介護業界に関わりたいと思うようになった」と回答しています。さらに、4割が将来的に「介護関連の資格取得」や「介護職への本格的な就業」を検討していることも明らかになっています(※4)。
このデータは、柔軟な働き方が新たな人材の呼び水となり、介護業界への関心を高める効果があることを示唆しており、障害福祉分野においても同様のポジティブな効果が期待できるでしょう。
ベネッセキャリオスの専門性と連携:安心・安全な就業環境とキャリア支援
今回の提携では、ベネッセキャリオスが長年培ってきた介護事業運営のノウハウが、タイミーのサービスに統合されます。これにより、働き手にとって無理のない就業環境の実現と、事業者の業務負担軽減が図られます。
具体的には、ベネッセキャリオスが現場の課題や業務負担の傾向に基づいて導き出した451の業務分類に基づき、業務を徹底的に分解しマニュアルを作成します。これにより、約9割の業務がスポットワーカーに任せられるようになり、既存従業員の業務負担軽減や職場改善、生産性向上に貢献します。

さらに、ベネッセキャリオスのノウハウを活かした働き手向けの研修や資格取得支援も実施されます。無資格・未経験者が介護現場で活かせる実践的な技術をオンラインで学べるeラーニングサービスが提供され、より広い「はたらく」の選択肢を提供することで、業界への流入促進が期待されます。

スポットワークを通じて介護業界に関心を持った働き手に対しては、ベネッセキャリオスの人材紹介・人材派遣サービスを通じて、専門のキャリアアドバイザーが長期的な就業と定着を後押しします。これは、単なる一時的な人手不足解消に留まらず、持続可能なキャリア形成支援へと繋がる重要な取り組みです。
障害福祉分野における人材確保への期待と今後の展望
株式会社タイミー代表取締役の小川 嶺氏は、「ベネッセキャリオスとの戦略的業務提携は、タイミーが介護分野で目指す未来の実現にとって大きな一歩だと感じています。ベネッセの介護のプロフェッショナルなノウハウをもとに、『無資格・未経験者の業界流入』と『潜在有資格者の掘り起こし』による採用母集団の裾野拡大を実現しながら、働き手、事業者双方にとってより良い就業、雇用の環境を実現できると確信しています。」とコメントしています。
株式会社ベネッセキャリオス代表取締役社長の橋本 英知氏も、「介護業界における人材不足は深刻な社会課題であり、介護の持続性の維持・向上のためにも最重要課題です。解決に向けては、潜在有資格者の掘り起こしとともに、スポットワーカーの活用を含む多様な人材の確保・育成が急務だと考えています。」と述べ、両社の強みを活かした提携への期待を示しています。
この提携による人材確保・育成の仕組みは、介護業界だけでなく、同様に人材不足に悩む障害福祉分野にとっても大きな示唆を与えます。スキマバイトによる新たな働き手の呼び込み、専門的な研修を通じたスキルアップ、そしてキャリアアドバイザーによる継続的な就業支援は、障害者支援の現場においても有効な解決策となり得るでしょう。
特に、無資格・未経験者が現場で経験を積みながら資格取得を目指せる環境は、障害福祉分野への参入障壁を下げる効果が期待できます。この提携が示す成功事例は、将来的には障害福祉サービス提供事業者や自治体にも広がり、より多様な人材が福祉の現場で活躍できる社会の実現に貢献するかもしれません。
まとめ:持続可能な介護・障害福祉サービスのために
タイミーとベネッセキャリオスの戦略的業務提携は、日本の介護人材不足という喫緊の課題に対し、革新的な解決策を提示するものです。無資格・未経験者の業界流入促進から、スキルアップ支援、そしてキャリア形成までを一貫してサポートするこのモデルは、介護業界全体の持続可能性を高めるだけでなく、障害福祉分野においても新たな人材確保の道を開く可能性を秘めています。
「『はたらく』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」というタイミーのミッションと、ベネッセキャリオスの専門性が融合することで、働き手と事業者の双方にとってより良い環境が提供され、ひいては支援を必要とする方々への質の高いサービス提供へと繋がっていくことでしょう。この提携が、日本のケアサービス全体の明るい未来を切り拓く一歩となることを期待します。
参考資料
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※1:内閣府「令和7年版高齢社会白書(全体版)」
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2025/zenbun/pdf/1s1s_01.pdf -
※2:厚生労働省 第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について(令和6年7月12日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41379.html -
※3, ※4:タイミー「介護領域におけるスポットワークに関する意識調査」(2026年3月)
https://corp.timee.co.jp/news/detail-6080/ -
※5:情報メディア事業、及び各種HR事業の取引先数の合計

