障害福祉の情報連携に新たな動き!最中屋が厚生労働省事業に採択

障害福祉分野における情報連携の課題は、長年にわたり多くの関係者にとって大きな負担となってきました。このような状況の中、医療・介護福祉分野のDX支援およびプロダクト開発を手掛ける株式会社最中屋(以下、最中屋)が、厚生労働省が公募した「令和8年度 障害者総合支援事業費補助金(障害者総合福祉推進事業)」の指定課題18「障害福祉分野における情報連携の円滑化及び手続負担軽減に関する調査研究事業」に採択されたことを発表しました。

この採択は、介護分野で培われた情報連携基盤(介護情報基盤・ケアプランデータ連携システム・LIFEなど)に関する知見を、障害福祉分野に応用しようとするものです。相談支援事業所と障害福祉サービス各事業所間の情報連携を円滑化するためのモデルを検討・整理し、現場の負担軽減とサービスの質の向上を目指す重要な取り組みとなります。

参考:令和8年度障害者総合福祉推進事業に係る公募について(1次公募)

なぜ今、障害福祉の情報連携基盤が必要なのか?現状と課題

現在の障害福祉分野では、情報連携に関して複数の課題が存在します。介護分野では、令和8年4月から「介護情報基盤」が順次稼働を開始し、要介護認定情報や主治医意見書を含む包括的な情報連携が実現される予定です。介護情報基盤とは、介護保険制度における利用者の介護情報を一元的に管理し、関係機関で共有するためのシステム基盤を指します。

一方、障害福祉分野にはこれに相当する情報連携基盤がまだ存在せず、相談支援事業所(障害のある方やその家族が福祉サービス利用に関する相談や計画作成を行う事業所)と障害福祉サービス各事業所間の情報連携は、依然として紙、FAX、個別のソフトウェアに依存しているのが現状です。

障害福祉分野には、介護保険分野とは異なる以下の3つの固有の課題があります。

複数サービスの併用による情報分断

障害のある方は、居宅介護、生活介護、就労支援、放課後等デイサービスなど、複数のサービスを併用するケースが多く見られます。これにより、各事業所で個別にデータが管理され、情報が分断されてしまうという課題があります。

ライフステージをまたぐ情報の断絶

乳幼児期から成人期にかけて、支援担当者が大きく入れ替わることが一般的です。その際、これまでの支援情報が適切に継承されにくく、一貫した支援が困難になることがあります。

予算構造上の制約とデジタル化の遅れ

障害福祉サービスは社会保障費ではなく事業費として運営されるため、個別のデジタル化投資に大きな制約があります。これが、情報連携システムの導入が進まない一因となっています。

最中屋が進める「情報連携の円滑化モデル」とは?調査研究の具体的内容

最中屋は、これらの課題解決に向けて、本事業で以下の5つの論点を中心に調査研究を実施します。

  1. これまでの検討状況や介護分野等の現状を踏まえた論点整理
    介護分野の現状を踏まえつつ、障害福祉分野の特性(個人情報保護の観点を含む)を加味した情報連携上の課題を構造的に整理します。最中屋が持つ介護情報基盤やケアプランデータ連携システム(介護サービス計画の情報を電子的にやり取りするシステム)の導入支援実績が活かされます。

  2. 障害福祉サービス受給者証の様式および関係手続の標準化の検討
    受給者証の様式や関係手続の標準化について、ローカルルールの実態把握や改善、電子化・システム化の論点をアンケートやヒアリングを通じて整理します。

  3. 「情報連携の円滑化モデル(仮称)」の検討・整理【本事業の中核】
    サービス等利用計画(障害のある方が利用するサービスの種類や目標を定めた計画)や支援記録のやりとりに係る事務負担軽減を中心に、以下の観点から運用モデルが検討されます。

    • アセスメントデータの活用に関する現状の整理

    • 複数支援者による協働やライフステージ横断的な情報継続性など、障害福祉固有の要件の検証

    • 自治体が基盤を整備し、クラウド型で事業所が利用する行政主体モデルの検討

    • 介護分野のLIFE(科学的介護情報システム)を参考にしたデータ蓄積・活用(AI活用を含む)の方向性の整理

  4. 手続負担軽減に関するこれまでの対応の進捗状況のフォローアップ
    事務連絡等により自治体への働きかけを行ってきた手続負担軽減の取り組みについて、進捗状況を把握します。

  5. 事業者要望専用窓口に寄せられた要望の整理および対応の検討
    厚生労働省の専用窓口に寄せられた現場の声(ペイン)を体系的に分析・整理し、有識者の参画のもと改善策を検討します。

この調査研究は、有識者会議(学識経験者、障害福祉サービス事業者、自治体関係者、当事者団体等で構成)、全国の自治体および障害福祉サービス事業所を対象としたアンケート調査、そして自治体・事業所へのヒアリング調査を通じて実施されます。

最中屋が障害福祉DXを牽引する背景とこれまでの実績

最中屋は「まん中でケアする人をおもてなし。」をビジョンに掲げ、医療・介護・障害福祉現場のエッセンシャルワーカー(社会生活の維持に不可欠な仕事に従事する人々)を支援するプロダクト・サービスを提供してきました。

株式会社最中屋のロゴ

特に介護分野では、情報連携基盤の整備に関する以下の実績を通じて、豊富な知見を蓄積しています。

  • 介護情報基盤・ケアプランデータ連携システムの導入支援事業の実績

  • 日本医療研究開発機構(AMED)「介護DXを利用した抜本的現場改善事業」において、AIを活用したケアプラン生成支援・多職種連携ツール「ミタスト」および複数事業所データ統合ダッシュボード「ミエルト」の研究開発に参画

  • 在宅介護における「見守り×チャット×BI連携による地域包括型在宅介護DXパッケージモデル」プロジェクトに補助事業分担者として参画し、「ミエルト for Home Care」の開発を担当

これらの実績で培われた「関係者間の情報分断を解消し、データに基づく質の高いケアを実現する」知見が、本事業において障害福祉分野に活かされることになります。

障害福祉の未来へ:この調査研究がもたらすベネフィット

本事業で目指す成果は、多岐にわたります。

  • 障害福祉分野における情報連携の現状と課題の構造的整理(利用者・事業所・自治体それぞれの視点から)

  • 「情報連携の円滑化モデル(仮称)」の方向性の提示(自治体主導のクラウド型基盤モデル、サービス等利用計画データ連携モデル等)

  • 事業者要望の体系的整理と現場の「ペイン(苦痛)」の可視化

  • 令和9年度以降に取り組むべき情報連携基盤の開発要件・ロードマップの提示(AI活用を含む)

これらの成果を通じて、相談支援専門員や事業所スタッフが「書類ではなく、人と向き合う時間」を取り戻すための基盤が構築されることが期待されます。情報連携がスムーズになることで、利用者一人ひとりに寄り添った、より質の高い支援が提供される未来へと繋がるでしょう。

最中屋は今後も、障害福祉現場における情報連携の課題解決に向けた調査・研究・発信を通じて、相談支援専門員や障害福祉サービス事業所が本来大切にしたい支援に時間を使える環境づくりに取り組んでいくとしています。

株式会社最中屋について

株式会社最中屋は、京都府京都市に本社を置く企業です。DX/UXコンサル、調査分析、データ活用コンサル、アプリ企画・開発コンサル、プロダクト企画および提供を事業内容としています。

URL:https://monakaya.com/

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77