障害者運動の担い手育成「三澤学校」の目的と背景

障害者を取り巻く社会課題は多岐にわたります。障害者権利条約の実施、障害者差別解消法、介助保障、教育、雇用、バリアフリー、さらには優生保護法問題など、解決すべきテーマは山積しています。これらの課題に対し、地域で主体的に声を上げ、社会を変革していくためには、障害当事者自身が学び、連携し、行動することが不可欠です。

「三澤学校」は、まさにこうしたニーズに応えるために企画されました。障害者運動の基礎から実践までを体系的に学ぶことで、参加者がそれぞれの関心テーマに取り組みながら、仲間とともに深い学びを得ることを目指しています。

実践的カリキュラムで学ぶ障害福祉の多様なテーマ

本講座は、オンラインでの講義、質疑応答、グループワークに加え、2回の合宿を含む全16回で構成されます。カリキュラムには、障害福祉に関わる重要なテーマが網羅されています。

主なカリキュラム内容(予定):

  • 障害者権利条約概論: 障害者のあらゆる人権と基本的自由の享受を促進・保護・確保し、障害者の固有の尊厳を尊重するための国際条約である「障害者権利条約」について深く掘り下げます。

  • 優生保護法と強制不妊手術: 1948年から1996年まで存在し、遺伝性疾患や精神障害を持つ人々に対して強制的な不妊手術などを認めていた旧「優生保護法」とその歴史的背景、現代への影響について学びます。

  • 欠格条項と障害者差別: 障害を理由とする不当な差別や、特定の資格取得を制限する「欠格条項」の問題点を検証します。

  • 介助保障制度の課題: 障害者の自立生活を支える上で不可欠な介助保障制度の現状と今後の課題について議論します。

  • 精神障害者を取り巻く現状: 精神障害者の社会参加を妨げる要因や、支援のあり方について考えます。

  • 権利擁護(成年後見制度・障害者差別解消法・旅館業法・カスハラ防止): 障害者の権利を守るための制度や法律、具体的な課題への対応策について学びます。なお、「障害者差別解消法」は、障害を理由とする差別の解消を推進し、共生社会の実現に資することを目的とした日本の法律です。

  • 障害者を取り巻く教育・雇用労働の課題: インクルーシブ教育の推進や、障害者の安定した雇用を実現するための課題を探ります。

  • バリアフリー: 物理的・情報的なバリアを取り除くための取り組みや、その重要性について考察します。

  • 尊厳生を取り巻く現状: 障害者の尊厳ある生き方を保障するための社会的な課題に焦点を当てます。

  • 国際的な障害者運動の課題: 日本だけでなく、世界における障害者運動の動向や連携の重要性を学びます。

  • 日本の障害者団体の説明と障害者運動の歴史: 日本の障害者運動の歩みと、主要な団体の活動について理解を深めます。

経験、年齢、障害種別を問わず、「社会を変えたい」「地域で運動に取り組みたい」と考える障害当事者の参加が歓迎されています。

「三澤学校」講座概要と参加方法

開催期間と定員

  • 期間: 2026年9月10日〜2027年12月、合宿を含む全16回

    • 合宿は2回開催されます(2027年1月30日〜2月1日、9月4日〜9月6日)。場所はいずれも戸山サンライズです。
  • 定員: 20名

参加費と申し込み方法

  • 参加費: 1万円(事情により減免あり)

    • 合宿参加の交通費、宿泊費、飲食代は自己負担となります。
  • 申し込み締切: 2026年7月15日(水)

  • 申し込み方法: Googleフォームよりお申し込みください。

    • Googleフォーム

    • Googleフォームへの記入が難しい場合は、申込用紙を送付してもらうことができます。以下のメールアドレスに連絡してください。

      • お問い合わせ先メールアドレス: misawa2026★googlegroups.com (お問い合わせ時には、★を@に変えてメールしてください)

詳細については、以下のチラシもご確認ください。

主催団体:NPO法人DPI日本会議について

本講座を主催するNPO法人DPI日本会議は、障害当事者が中心となり、あらゆる差別や排除のない社会の実現を目指す全国組織です。障害者権利条約の実現や教育、交通、労働など、様々な分野における政策提言や啓発活動を展開しています。

障害福祉の未来を拓く「三澤学校」への期待

高村光太郎の詩「道程」の一節に「ぼくの前に道はない、ぼくの後ろに道はできる」とあるように、「三澤学校」は、参加者一人ひとりが自らの手で新たな道を切り拓くことを支援する場となるでしょう。この講座を通じて、多くの障害当事者が知識と経験を深め、地域社会における障害者運動の活性化、ひいては共生社会の実現に向けた大きな一歩となることが期待されます。

社会変革への意欲を持つ障害当事者の皆さんの参加が、日本の障害福祉分野に新たな風を吹き込むことでしょう。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77