📌 この記事で分かること
- 障がいのある学生が就活で抱えやすい課題と「早期の準備・体験」の重要性
- 関東圏で初開催となるプレキャリアイベント「ableto 次世代のキャリア形成プログラム 2026 in 首都圏」の概要と特徴
- 法定雇用率の引き上げ(2026年7月に2.7%)など、障害福祉および障害者雇用の最新動向
- 「ディーセント・ワーク」や「インクルーシブ採用」などの専門用語の意味と背景
就職活動や将来の働く姿に対して不安を感じている、障がいや多様な特性をもつ学生やそのご家族、支援者の方は少なくありません。大学での修学や日常生活での困りごとから「自分に合った働き方が分からない」「就職活動のスタートが遅れてしまう」といった悩みを抱えるケースが見られます。
一方で、企業側でも法定雇用率の引き上げに伴い、障がい者雇用の受け入れや職場の環境整備において模索が続いています。
本記事では、2026年11月に関東エリアで初開催される産学民連携プレキャリアイベント「ableto(エブルト)次世代のキャリア形成プログラム 2026 in 首都圏」の取り組みをご紹介します。学生と企業が早い段階から対話し、業務体験を通して相互理解を深める意義や、障害福祉における最新のキャリア支援の形について解説します。
障がいのある学生の就活・キャリア形成における課題とは?
学生が直面する「準備・体験機会」の不足と就活の悩み
就業や働くことに対する不安は、選考が始まる直前だけに生じるものではありません。障がいや特性のある学生の場合、日常の学生生活において「単位の取得が難しい」といった修学上の困難や、「アルバイトが長続きしない」といった社会参加へのハードルを経験することがあります。
こうした困りごとが生じた際に、試行錯誤や周囲との対話を通じて「自分の得意・不得意(自己理解)」や「どのような仕事が向いているか(仕事理解)」を深める「準備や体験の機会」が不足しがちです。その結果、就職活動に対して強い不安を感じたり、動き出しが遅れてしまったりする構造的な課題が存在すると指摘されています。
【専門用語解説】法定雇用率の引き上げと企業の受け入れ態勢の現状
企業側においても、障がい者雇用を取り巻く環境は変化しています。障害者雇用促進法に基づき、事業主に一定割合以上の障がい者の雇用を義務付ける「法定雇用率」は、2024年に2.5%へ引き上げられ、さらに2026年7月には2.7%へと引き上げられました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法定雇用率とは | 障害者雇用促進法により、企業や自治体等に義務付けられている障がい者の雇用割合 |
| 近年の動向 | 2024年に2.5%へ引き上げ、2026年7月には2.7%へと順次引き上げを実施 |
| 企業の課題 | 受け入れが進む一方で、職場で課題が生じた際の対応が手探りとなり、現場の負担が増える傾向 |
雇用の機会が広がる一方で、実際の職場において困りごとが生じた際の対応法が手探りとなり、現場のマネジメント負担が増加する事例も報告されています。そのため、学生と企業が早い段階から直接対話し、お互いの状況や支援ニーズをすり合わせる機会の重要性が高まっています。
産学民連携のプレキャリアイベント「ableto(エブルト)」関東初開催の概要
イベント「ableto 次世代のキャリア形成プログラム 2026 in 首都圏」の開催概要
特定非営利活動法人ディーセントワーク・ラボは、学生と企業がともに対話を通じて「できる」を育てる対話型プログラム「ableto」の一環として、関東初となるプレキャリアイベントを開催します。2026年6月に関西で開催された第1回に続き、第2回目として首都圏で実施されます。
【プログラムの構成】
・Day1(11月10日):事前オンライン「プレセッション」
・Day2(11月21日):対面プログラム(アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京)
・Day3(11月27日):事後オンライン「アフターセッション」
※本イベントは上記3つのセッションを組み合わせた連続プログラムとして企画されています。
- 開催日時(Day2対面): 2026年11月21日(土)10:00~17:00
- 会場: アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京(東京都港区三田一丁目4番1号 住友不動産麻布十番ビル9階)
- 参加費: 無料(事前申込制)
- 主催: 特定非営利活動法人ディーセントワーク・ラボ
- 共催: 京都大学 学生総合支援機構 附属ディスアビリティ・インクルージョンセンター(DIINセンター)、アクセンチュア株式会社
- 協力大学: 大阪大学 アクセシビリティ支援室、神戸大学 障害学生支援部門
対象者は、就業や修学に困りごとのある関東エリア中心の学生・若年者(障害者手帳の有無は問いません)のほか、障がい者雇用やインクルーシブ採用に関心のある企業担当者、大学のキャリア支援関係者など幅広く設定されています。
共催・参画企業と大学連携による実践的な業務体験プログラム
本イベントには、共催企業であるアクセンチュア株式会社をはじめ、株式会社LIXIL Advanced Showroom、江崎グリコ株式会社、スクイグル株式会社、トランスコスモス株式会社、株式会社タイミーといった多様な企業が参画しています。
企業と大学の支援者が協働し、ワークショップや模擬業務のテーブルを通じて、学生が実際の働き方や仕事の進め方を体験的に学べる仕組みが構築されています。
「ableto」プログラムが提供する体験と過去の参加者の声
多様な職種を試せるワークショップ・体験テーブルの内容
「ableto 次世代のキャリア形成プログラム 2026 in 首都圏」のDay2対面プログラムでは、以下のような多様な体験テーブルやワークショップが予定されています。
- ソリューション・エンジニア体験
- デザイナー体験
- クリエイティブ(映像制作)体験
- 顧客提案体験
- インクルーシブ就活ワークショップ
実際の仕事に似せたプロジェクトや模擬業務に取り組むことで、学生は自身の強みや配慮が必要な点を具体的に把握することが期待できます。
関西開催(2026年6月)での学生の気づきと成果
2026年6月に京都市で開催された「ableto 2026 in 関西」では、特性や障がいのある学生17名が参加しました。企業サービスの改善提案や就活の悩みを整理するワークショップが行われ、参加した学生からは以下のような前向きな感想が寄せられています。
- 「仕事上での課題点が見える機会に繋がったので非常に助かった」
- 「興味があってもハードルが高く挑戦を躊躇っていた職種を、サポートを受けられる環境で試せたことが何より大きな収穫だった」
手厚いサポートがある環境で関心のある業務に挑戦できたことが、自己理解や将来のステップアップへの手応えにつながったと捉えられています。
【専門用語解説】障害福祉・キャリア形成で押さえておきたい重要キーワード

記事をより深く理解するために、障害福祉やキャリア支援の現場で使われる重要用語について整理します。
「ディーセント・ワーク」とは?一人ひとりの役割と働きがいを創出する取り組み
ディーセント・ワーク(Decent Work)とは、国際労働機関(ILO)が提唱する概念で、「権利が守られ、十分な収入が認められ、適切な社会的保護が与えられた、働きがいのある人間らしい仕事」を指します。
主催団体であるNPO法人ディーセントワーク・ラボでは、すべての人々がコミュニティの中で認識される「役割」を持ち、個々の力を発揮できる環境づくりや職場支援に取り組んでいます。
「インクルーシブ採用」と社会的障壁の除去を目指す産学の役割
インクルーシブ採用(Inclusive Recruitment)とは、性別・年齢・国籍だけでなく、障害や病気、生活背景などの多様性を包摂し、誰もが公平に選考や活躍の機会を得られるように工夫された採用活動のことです。
また、共催である京都大学の附属ディスアビリティ・インクルージョンセンター(DIINセンター)では、地域生活や就労における「社会的障壁(Disability)」の原因を追究し、それら除去・軽減するための実践や研究が進められています。大学・企業・NPOが連携することで、双方にとって持続可能な就労環境の構築が期待されています。
Q&A(よくある質問)

障がいのある学生のキャリア支援や本イベントに関して、よく寄せられる疑問点を Q&A 形式でまとめました。
Q1. 障害者手帳を持っていなくても、こうしたプレキャリアイベントに参加できますか?
A. はい、参加可能です。「ableto 2026 in 首都圏」では、障害者手帳の有無に関わらず、就業や修学に不安や困りごとを抱える学生・若年者を対象としています。自身の特性を理解し、今後のキャリアを考える機会として活用できます。
Q2. イベントでは具体的にどのようなことが学べますか?
A. 模擬業務やワークショップを通じ、「自分の得意なこと・苦手なこと」や「必要な合理的配慮」についての自己理解を深めることができます。また、企業の担当者と直接対話することで、実際の職場で求められる仕事の進め方やコミュニケーション方法を体感できます。
Q3. 企業や支援者の見学参加は受け付けられていますか?
A. 見学の受け付けが行われています。今後こうした取り組みへの参加や障がい者雇用の推進を検討している企業担当者、大学関係者なども見学が可能とされています。
まとめ:早期の対話と体験機会が切り拓く、障がいのある学生と企業の新しい未来

就職活動を迎える障がいのある学生にとって、早い段階から自身の特性を理解し、実際に仕事体験を重ねる「プレキャリア機会」は、将来の安心した就職につながる重要な一歩となり得ます。
また企業にとっても、選考前の段階から学生と対話を重ねることは、自社の受け入れ態勢を整え、インクルーシブな職場環境を築くための貴重なノウハウ構築の場となります。
2026年11月21日(土)に関東で初開催される「ableto 次世代のキャリア形成プログラム 2026 in 首都圏」をはじめ、産学民が一体となった新しいキャリア支援の広がりは、障がいのある学生が自分らしく活躍できる社会の実現に向けた注目すべき取り組みと言えます。



