「THANKS × RESPECT. 感謝と尊敬の10年。」ハイブリッド開催で新たな共生を提示

10周年を迎えた今回は、「THANKS × RESPECT. 感謝と尊敬の10年。」をテーマに、会場来場に加え、オンライン配信、メタバース会場でも同時展開するハイブリッド形式で開催されました。音楽ライブ、ALS TALK SHOW、身体拡張技術の紹介、分身ロボット、脳波ドローン、eスポーツ企画など、多岐にわたるプログラムを通じて、次なる10年へ向けた希望の一歩が発信されました。当日は、会場に900人、配信・メタバースで170人、合計1,070人が参加し、盛況を博しました。

躍動のオープニングと熱気あふれるライブパフォーマンス

開演を告げたのは、M++DANCERSによるLEDダンスパフォーマンスでした。光り輝く演出が会場を鮮烈に彩り、「MOVE FES.2026」の幕開けを飾りました。

LEDダンスパフォーマンス

MCからは、会場、配信、メタバースを横断する10周年特別公演であることが伝えられ、参加者が一体となる“BORDERLESS LIVE”の始まりが告げられました。

ライブパートの序盤では、NOBU、SOME≡LINEZ、内澤崇仁(androp)といったアーティストが登場。ジャンルを超えたパフォーマンスが次々と披露され、10周年にふさわしい熱気で会場を盛り上げました。

NOBUのパフォーマンス

SOME≡LINEZのパフォーマンス

内澤崇仁(androp)のパフォーマンス

ALS TALK SHOW:身体拡張と研究開発の最前線

イベントの中盤では、ALS TALK SHOWが開催されました。武藤将胤氏に加え、吉藤オリィ氏、荻野幹人氏、黒川久里子氏、せきぐちあいみ氏、南澤孝太氏、中村真理子氏といった各分野の専門家が登壇。「THANKS × RESPECT. 感謝と尊敬の10年。」をテーマに、これまでの10年間の歩みと、次の10年で目指す未来像が語られました。

オリィ研究所の吉藤オリィ氏は、障害と身体拡張について「できないことがあることで進化・研究が進む。だから、できないことがあるということは素晴らしいことだと考えている」と述べ、登壇者一同がこの意見に強く同意しました。

武藤将胤氏とロボットアーム

ステージ上では、武藤将胤氏がロボットアームをコントロールしながら登場。さらに、オリィ研究所、WITH ALS、慶應義塾大学KMD、TSIホールディングスが連携して開発した新作「MOVE WEAR」がお披露目されました。これは、ユニバーサルデザインとファッション、研究開発が交差する象徴的な場面となりました。

MOVE WEARのお披露目

武藤氏はこれまでの10年を振り返り、「この10年でALSの発症メカニズムはかなり解明されてきました。だからこそ、次の10年でALSの治療方法が生み出されると信じています。さらにテクノロジーの進化によって、誰もが自分らしく身体を拡張し、分身ロボットやロボットアーム、アバター、ドローンまで自在に操れる時代が来るはずです。尊敬する仲間たちとともに、最前線から希望の道しるべを世界に発信していく10年にしたいと思っています。今日が、そのはじめの一歩です。」とコメントしました。

世界初の脳波ドローン公開実験とeスポーツ企画

今年の大きな見どころの一つは、脳波でドローンを操る世界初のBRAIN DRONE公開実験でした。研究成果を単に“見せる”だけでなく、観客の目の前でリアルに可視化することで、ALSの未来や身体拡張技術の可能性が強く印象づけられました。

BRAIN DRONE公開実験

BRAIN DRONE PROJECTのプレゼンテーション

さらに、NTTの技術と武藤将胤氏の取り組みが融合した「MOVE FES.2026 ESPORTS CUP」も開催されました。筋電センサーを使ってドローン飛行ゲームに挑戦する参加型企画が行われ、従来のゲーム操作の前提を問い直す、新たなエンターテインメント体験が提示されました。

MOVE FES.2026 ESPORTS CUP

eスポーツ企画の様子

01 ROBOT POP-UP STORE:分身ロボットによるボーダレスな接客販売

会場入り口では「01 ROBOT POP-UP STORE」が展開されました。武藤将胤氏が視線入力でデザイン・プロデュースする「01 BORDERLESS WEAR」のユニバーサルアイテムやALSチャリティアパレルが販売されました。

01 ROBOT POP-UP STORE

当日は、遠隔地から分身ロボット「OriHime」を操縦するパイロットとWITH ALSスタッフが連携し、遠隔接客販売を実施。移動や身体的制約の有無にかかわらず、誰もが販売やコミュニケーションの担い手になれる“ボーダレスな販売体験”が会場で具体化されました。

OriHimeによる遠隔接客

ライブの感動と10周年のフィナーレ

後半のライブパートでは、HOME MADE 家族、清春らが登場しました。HOME MADE 家族のMICRO氏は、歌唱中にステージから客席へ降り、車椅子席の観客一人ひとりと目を合わせながら握手を交わす一幕も。MICRO氏はステージ上で「胸がいっぱいになって、抑えきれなかった」と語り、会場全体が深い一体感に包まれました。

HOME MADE 家族のパフォーマンス

HOME MADE 家族 MICRO氏と観客の交流

清春のパフォーマンス

EYE VDJ MASAのステージでは、この日のために視線入力で作詞・作曲されたオリジナル楽曲群が披露されました。ゲストアーティストやパフォーマーとのコラボレーションにより、音楽、身体表現、テクノロジーが融合したMOVE FES.ならではの総合演出が実現しました。

EYE VDJ MASAのステージ

EYE VDJ MASAとコラボレーション

全ステージ終了後、登壇者全員が再登壇したフィナーレでは、武藤将胤氏の締めコメントの途中で、妻のゆうこさんと娘さんからHOME MADE 家族へ“復活おめでとう”のサプライズ花束が贈られました。感謝と尊敬、そして祝福が重なる、10周年の締めくくりにふさわしい感動的なひと幕となりました。

フィナーレでの集合写真

武藤将胤氏は、「2016年にMOVE FES.を始めたとき、10年後を想像するのが怖かったのが本音でした。それでもALSの未来は必ず変えられると信じて、テクノロジーとクリエイティブの力で挑戦を続けてきました。10周年の今回、こうして仲間たちとともに次の10年のはじまりを示せたことに、深い感謝と尊敬の気持ちがあります。ここから先の10年で、ALSが治せる未来に本気で辿り着きたいと思っています。」とコメントしました。

今後の展望とイベント詳細

一般社団法人WITH ALSは、MOVE FES.2026の開催レポート第2弾として、翌月にムービーレポート公開にあわせたプレスリリースを予定しています。第2弾では、当日の映像ダイジェストとともに、ライブ、ALS TALK SHOW、EYE VDJ MASAのコラボステージ、遠隔接客販売などの舞台裏や臨場感が映像を通じて改めて発信される予定です。

MOVE FES.10周年記念集合写真

MOVE FES. 2026 開催概要

  • イベント名: MOVE FES. 2026(10th ANNIVERSARY)

  • 日程: 2026年6月20日(土)

  • 会場: EXシアター六本木

  • 開催形式: 会場/オンライン配信/メタバース

  • 主催: 一般社団法人WITH ALS

  • 特設サイト: https://www.movefes.jp/

ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは

ALSは、脳や末梢神経から筋肉への命令を伝える運動ニューロンが侵され、全身の筋肉が徐々に動かなくなる指定難病です。意識・五感・知性は正常なまま、手足の自由、声、最終的には呼吸の自由が順に奪われていきます。現在も有効な治療法は確立されておらず、世界で約40万人、日本で約1万人の患者がいるとされています。延命には人工呼吸器の装着が必要で、平均余命は発症から3〜5年とされています。

一般社団法人WITH ALSについて

一般社団法人WITH ALSは、自身のALS闘病体験を通じて、ALSの認知・理解を広げ、治療方法や支援制度の向上を目指す団体です。ALS患者やその家族、非患者を含む多くの人のQOL向上に貢献するため、コンテンツ開発や啓発活動を行っています。公式サイトはhttp://withals.com/です。

アーカイブ配信情報

本公演のアーカイブ配信チケットは2026年7月19日(日)まで販売中です。会場に足を運べなかった方や、10周年特別公演を改めて振り返りたい方は、ライブ、ALS TALK SHOW、各種テクノロジー演出をオンラインで視聴できます。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77