障がいをテーマにした短編戯曲コンテスト、2026年度も開催

このコンテストは、「障がい」を切り口に、人間関係や社会のあり方を演劇台本として表現するユニークな試みです。2023年に初開催されて以来、初年度244作品、2024年度192作品、2025年度191作品と、毎年多くの作品が寄せられています。応募作品には、障がいのある当事者やその家族、支援者など、多様な経験に基づいた切実な声や、ファンタジー、コメディー、社会を掘り下げる作品など、幅広いジャンルの物語が含まれています。

鳥の劇場は、「障がいは、いわゆる障がい者とされる人そのものにあるのではなく、その人と他者=社会との間に生まれるもの」という考えを提唱しています。戯曲という形式を通じて、人と人の間に生まれる喜び、怒り、苛立ち、差別意識といった心の動きを描き出すことで、社会における「障がい」を多角的に捉えることを目指しています。

戯曲コンテストの募集ポスター

新設「プロフェッショナル部門」と「レギュラー部門」の2部門制で創作の機会を拡大

今年度から新たに「プロフェッショナル部門」が新設され、レギュラー部門と合わせた2部門制で実施されます。これにより、経験豊富な劇作家から初めて戯曲を書く人まで、幅広い層の参加が期待されます。

【応募規定】
以下のいずれかの条件を満たす作品が応募可能です。

  1. 物語に障がい者が登場する作品
  2. 障害者手帳(身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳)の交付を受けている方が書いた作品

    • 選考が進んだ段階で、障害者手帳による確認が行われる場合があります。

レギュラー部門

条件1または2を満たす方であれば、誰でも応募できます。最優秀、優秀、入選作品が選ばれます。

プロフェッショナル部門(新設)

プロ劇作家を自認する方を対象とした部門です。条件1または2を満たす必要があります。最優秀作品のみが選ばれ、ロブ・ウルビナーティ氏と中島諒人氏によるコメント、およびコンテストで制作した英訳が提供されます。また、選ばれた作品は鳥の劇場やアメリカ・クイーンズシアターでのリーディング上演(出演者が台本を手に持ち、ほとんど動きをつけないで行う上演)に限らない上演の候補となります。

プロフェッショナル部門の新設は、よりインパクトの強い作品を社会に届けたいという意図と、初めて作品を応募する方の入選機会を奪わないようにするという二つの目的があります。初めて戯曲を書く方でも安心して応募できるよう、サポート体制も充実しています。

舞台上で賞状を手に記念撮影をする人々

ステージで朗読を行う人々

ステージで脚本を読み合わせる役者たち

応募規定と作品要件

  • 上演時間は5分から10分程度の短編戯曲を募集します。上演時間が明らかに長い作品は選考から除外されることがあります。

  • オリジナル、未発表、未上演の日本語による作品に限ります。

  • 他の戯曲、小説、映画などから引用した場合は、作品名と引用箇所を明記する必要があります。

  • 一次選考を通過した作品は英訳され、2027年のニューヨーク・クイーンズシアターでのリーディング上演の候補となります。

  • 入選作品は、2027年2月の表彰式で鳥の劇場にてリーディング上演が予定されており、鳥の劇場または全国各地のパートナー団体が行うリーディング上演の候補となります。原稿料の支払い、事業の記録集への掲載も予定されています。

創作をサポートする充実した体制

初めて戯曲(演劇の脚本)を書く方でも安心して作品づくりに取り組めるよう、公式ホームページでは「戯曲ってどうやって書くの?」という初心者向けの動画コンテンツが用意されています。今年はさらに、基本的な書き方の形式に関するコンテンツが追加される予定です。

また、一次選考を通過した方には、第一線で活躍するプロの劇作家による伴走支援が受けられます。大岡淳さん、坂本鈴さん、吉田小夏さんといった劇作家が、オンラインで作品のブラッシュアップをサポートします。このような伴走支援は2024年度から実施されており、確かな成果を上げています。大岡淳氏のコメント:「戯曲は、他者に開かれ、解釈が解釈を産み、変容し続けるテキストです。この終わりのないプロセスを通して、この世界の多様さ複雑さに触れることにあると思います。」

2026年度のスケジュールと応募方法

作品の受付期間は2026年8月1日から9月30日までです。応募には、9月23日までの事前エントリーが必要となります。事前エントリーは、公式ウェブサイトまたはFAXで受け付けています。

【スケジュール】

  • 2026年6月末:参加エントリー受付開始

  • 2026年8月1日~9月30日:作品受付

  • 2026年10月:予備選考・一次選考

  • 2026年11月~12月:選考通過作品へのプロ作家による伴走支援

  • 2027年1月:最終選考

  • 2027年2月21日(日):表彰式・リーディング発表会(鳥取県・鳥の劇場にて)

【参加方法】
作品は、受付期間中にメール・郵送・持ち込みのいずれかで受け付けられます。応募の詳細が送付されるため、まずは事前エントリーが推奨されます。

【お問い合わせ先】
特定非営利活動法人 鳥の劇場「戯曲コンテスト」事務局
〒680-0031 鳥取市本町1丁目201 ミュトスビル2階
TEL・FAX: 0857-30-0676
E-mail: gikyoku.disability@gmail.com

【公式ウェブサイト】
https://www.birdtheatre.org/gikyoku-disability/

【SNS公式アカウント一覧】

著名な社会学者・劇作家が選考委員に名を連ねる

最終選考委員には、社会学者の大澤真幸氏をはじめ、鳥の劇場芸術監督の中島諒人氏、一般財団法人たんぽぽの家理事長の岡部太郎氏、劇団こふく劇場代表の永山智行氏、義足の女優・ダンサーの森田かずよ氏、アメリカ・クイーンズシアターの劇作家ロブ・ウルビナーティ氏など、多分野で活躍する専門家が名を連ねています。

入選作品は全国各地でリーディング上演、海外での可能性も

過去のコンテストで入選以上の作品は、国内各地でリーディング上演が実施されています。2024年度は6箇所で上演され、各地の演劇関係者や観客に好評を博しました。国内だけでなく、協力者であるニューヨークのクイーンズシアターでもリーディング上演が行われ、大きな反響を呼びました。

2026年度の入選作品も、2027年2月の表彰式でのリーディング上演に加え、鳥の劇場や全国各地のパートナー団体によるリーディング上演の候補となります。また、一次選考を通過した作品は英訳され、2027年のNY・クイーンズシアターでのリーディング上演候補となるため、海外での発表の機会も期待できます。

公演実施予定地域は茨城県、東京都、静岡県、鳥取県、宮崎県など、全国各地に広がっています。公演情報は詳細が決まり次第、公式ウェブサイトで随時発信される予定です。

暗い舞台で朗読パフォーマンスを行う3人の演者

このコンテストは、障がいを巡る多様な視点や人間関係を社会に提示し、新たな戯曲作家を発見する重要な場となっています。文字入力のための多様な方法が利用できる現代において、多くの人がそれぞれの「窓から見た風景」を戯曲として表現し、新たな才能が生まれることが期待されます。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77