障がい福祉の現状と「アトリエにっと」が目指す工賃向上

現在、全国の就労継続支援B型事業所における平均工賃は月額約1〜2万円に留まっており、情熱を持って創作活動に取り組む障がいのあるアーティストが、それだけで自立した生活を送ることは困難な状況です。アトリエにっとはこれまでも企業向けのアートレンタル事業などを通じて工賃向上に努めてきましたが、アーティストたちがより豊かに表現を広げ、社会の中に自身の居場所を実感できる仕組みを求めています。

アート活動を楽しむ人々

「支援される側」から「価値を創る側」へ:3つの挑戦

今回のクラウドファンディングでは、以下の3つの柱を軸に、アーティストの表現を「価値あるデザイン」へと昇華させ、障がい福祉の新たなモデルを構築することを目指しています。

  1. 台東区独自の「台東フォント(仮称)」の制作
    「シブヤフォント」が提唱する「ご当地フォント」のスキームを活用し、台東区独自のフォントを制作します。初年度はアトリエにっとが基盤を築き、その後は台東区内の福祉事業所と連携。障がいのある方が描いた文字や絵を、台東区で活躍するデザイナーがフォントやパターンとしてデータ化します。これらのデータは地域の文化資源としてお土産や看板など街中で活用され、その利用料がアーティストに還元される仕組みです。

    台東フォントのビジネスモデル

  2. アート通販サイト「danran」の立ち上げ
    これまで企業向けが中心だったアート作品を、個人の方が気軽に購入できるECサイト「danran」をオープンします。アーティストの作品が直接、誰かの日常を彩る喜びを創出し、より多くの人々に障がい者アートの魅力を届けます。
    • 紺野正瑛氏のウェブサイト: https://konnomasaaki.onfotomat.com/「写真部」の活動支援と写真展の開催
      プロカメラマンの紺野正瑛氏の指導のもと、アーティストが一眼レフを手に「自分たちの視点」で世界を切り取る写真部を設立します。2026年度中には、その集大成として写真展を開催し、作品集(Zine)も制作予定です。

障がい者アートが社会を変える:代表理事と地域パートナーの想い

一般社団法人FUKU・WARAIの代表理事である髙橋圭氏は、「障がいがあるから『助けてもらう』のではなく、その人の持つ色(アート)で『誰かを喜ばせ、お金を稼ぐ』。そんな当たり前の尊厳を守れる循環を、この台東区から広げていきたい」と語っています。自身の経験からくる「誰もが『自分を嫌いにならないで済む』場所を作りたい」という願いが、このプロジェクトの原動力となっています。

代表理事 髙橋圭氏

地域パートナーである蔵前の珈琲焙煎を行う「縁の木」代表・白羽氏もこのプロジェクトに賛同し、「障がいのある方が、得意なことで社会と関わり、対等に価値を交換できる場所を共につくりたい」とコメントしています。リターン品として、アトリエにっとの作品をラベルに使用した「UKIYOE COFFEE」などを提供し、地域一丸となってプロジェクトを盛り上げています。

地域パートナー「縁の木」の白羽氏

また、多くの応援メッセージが寄せられています。

クラウドファンディングで障がい者アートの未来を応援しよう

この画期的なプロジェクトは、2026年5月10日よりCAMPFIREにてクラウドファンディングを開始しています。目標金額は300万円(第1目標)から最大550万円を目指しており、2026年7月上旬までの期間で支援を募っています。

主なリターン品には、台東フォントのネーミング会議参加権、限定「UKIYOE COFFEE」&クラフトジンセット、アーティストによる原画・アートパネル、写真部による限定フォトブック(Zine)など、魅力的な品々が用意されています。

障がいのあるアーティストの「誇り」と「自立」を育み、共生社会の実現に向けたこの挑戦に、ぜひ注目し、温かい支援を検討してみてはいかがでしょうか。

プロジェクトページはこちらから確認できます。


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findgood

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77