Webアクセシビリティ評価の課題とAI「AXY」による革新
従来の評価方法が抱えるジレンマとは?
ウェブサービスの利用が広がるにつれて、多様な人々が等しく利用できる「アクセシブルな設計」が強く求められています。特に、2024年4月に施行された改正障害者差別解消法により、民間事業者にも障害のある人への「合理的配慮」の提供が義務付けられました。ここでいう「合理的配慮」とは、障害のある人から社会生活を送る上で障壁を取り除くための要望があった際に、負担が重すぎない範囲で対応することです。これにより、ウェブサイトやデジタルサービスにおけるアクセシビリティ対応の重要性が一層高まっています。
しかし、実際の現場ではアクセシビリティ対応には構造的な課題が存在しています。従来の自動評価ツール(例:axe-coreなど)は、コードの構文解析やコントラスト比の検証には優れているものの、コンテンツの「意味」や「文脈」を読み取ることが難しく、評価には限界がありました。一方、専門家による目視や手動での評価は、文脈を含めた網羅的な検証が可能であるものの、多大な時間と高いコストがかかるというジレンマを抱えています。
さらに、多くの企業では「人材や知識の不足」「担当者の不在」といったリソースの課題も深刻です。国際標準であるWCAG(Web Content Accessibility Guidelines:ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン)の達成基準を十分に理解できないまま対応を迫られ、開発の終盤で形式的な対処に留まるケースも少なくありません。
「AXY」が評価時間を大幅短縮、精度も高く実用的な成果
CULUMUが開発した「AXY」は、こうした構造的な課題を解決するために登場しました。このシステムは、生成AIを活用してページの見た目や文脈を読み取り、既存のコード診断ツールと組み合わせることで、柔軟性と厳密さを両立した高精度なハイブリッド診断を実現します。
実証実験では、「AXY」の有効性が明確に示されました。WCAG 2.2の適合レベル「A」および「AA」の55項目を対象とした評価において、専門家が107分を要した作業を「AXY」はわずか5分で完了させ、評価時間を約95%(約1/20)に短縮できることが実証されました。
精度においても、完全自動評価した16項目で専門家との正誤判定の一致率が87.5%と高い数値を記録。特に「適合(問題なし)」と判定した項目では100%の一致率を示し、信頼性の高さがうかがえます。
さらに、「AXY」が生成するレポートは、検出されたすべての不適合項目に対して具体的な修正コード例や、専門知識を持たない担当者でも理解しやすい平易な解説を自動生成します。これにより、実務における改善のリードタイムを大幅に短縮できる有用性が確認されました。

「AXY」が描く未来:アクセシビリティから広がるデザイン評価と共創社会
アクセシビリティを超えたデザイン評価への拡張
今回の実証実験で得られた知見を基に、「AXY」の評価モデルはアクセシビリティ領域に留まらず、より広範なデザイン評価領域へと拡張される予定です。具体的には、情報の伝わりやすさを評価する「情報の理解容易性(可読性)」や、ターゲット層に応じた「専門用語の妥当性」、さらにはロゴや指定色の遵守を確認する「ブランド整合性評価」など、これまで評価者の主観に頼りがちだった感性的な指標も客観的なデータとして扱える基盤の確立を目指しています。
障害当事者との共創モデル深化で真のアクセシビリティを追求
長期的には、「AXY」が定型的な評価や一次スクリーニングを高速に処理することで生まれるリソースを、実際の障害当事者が直接評価プロセスに関与する「当事者との共創モデル」の深化へと投資していく体制が構築される予定です。これにより、専門家は単なる規約準拠の判定者から、当事者視点に立った設計改善やアクセシビリティの社会的な普及活動を牽引する存在へと役割をシフトできることが期待されます。
この取り組みは、多様な状況にある人々が、必要な情報へアクセスしやすい条件と環境を整えられる社会の実現に貢献するものと考えられます。
CULUMUと「AXY」に関する情報
HCD学会での発表論文
「AXY」の実証成果に関する論文は、以下の情報で発表されています。
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タイトル: Webアクセシビリティ改善を⽀援するAIベース評価・レポート⽣成システムの設計
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著者: 川合 俊輔(株式会社STYZ 執行役員CDO CULUMU事業責任者)、⼤村 健太(株式会社STYZ CULUMU Design Manager / Designer)、伊原 ⼒也(毬藻企画合同会社)、根岸 冬⾺(株式会社COBO)
導入・利用に関するお問い合わせ
「AXY」の導入や利用、アクセシビリティ・インクルーシブデザインに関する具体的なご相談は、以下の窓口から可能です。
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AXY専用ページ: https://axy.culumu.com/
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アクセシビリティ・インクルーシブデザインに関するご相談: https://culumu.com/contact
関連オンラインセミナーのご案内
アクセシビリティ対応の社内推進に悩む企業担当者向けに、オンラインセミナーが開催されます。

セミナー概要:
本セミナーでは、大企業の担当者がアクセシビリティ対応を社内で進めるための最初の一歩を、ユーザー起点設計やヒューマンセンタードデザインの視点から整理します。法令対応やチェックリストに留まらず、実際の利用者の困りごとを捉え、社内関係者と共有し、改善プロセスへ繋げる方法が解説されます。
開催概要:
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主催: 株式会社STYZ/インクルーシブデザインスタジオCULUMU
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開催形式: オンライン開催(Zoom)
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開催日時: 2026年6月23日(火)13:00〜
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参加費: 無料(事前予約制)
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申込方法: Peatix (https://peatix.com/event/5032176)
インクルーシブデザインスタジオ「CULUMU」とは
CULUMUは、高齢者や障害のある人、外国人など、多様な当事者との共創を通じて事業開発を支援するインクルーシブデザインスタジオです。インクルーシブデザインとは、多様な人々を巻き込み、その視点から製品やサービスを開発する手法を指します。CULUMUの最大の特徴は、5,000以上の非営利団体とのネットワークを活かした独自の調査パネルで、これまでリーチが困難だった人々とのマッチングや定性調査を可能にしています。この仕組みは「当事者と近い距離で開発を支援する」と高く評価され、2024年度グッドデザイン賞を受賞しました。
大手企業からスタートアップまで100件以上の取引実績があり、NPOや研究機関などのパートナーと共に、社会課題解決やDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン:多様性、公平性、包摂性)を推進するプロジェクトを多数手掛けています。
※ここでいう「障害」とは、『当事者ではなく社会の側に整備されていない部分や理解が不足している面があり、そのために不利・不便な状態や不自由にあるのが「障害」である』という社会モデルの考え方に基づいています。

株式会社STYZについて
株式会社STYZは、「当事者発想で問いを発見し、人・市場・制度・テクノロジーをつなぐことで新しい価値を社会に実装する」ことを目指しています。
主な事業:
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ドネーションプラットフォーム事業(Syncable): 非営利セクターへの新たな資金流入を促進します。
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インクルーシブデザイン事業(CULUMU): 企業課題と社会課題を同時に解決します。
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テクノロジー事業(STYZ Tech): 次世代技術による人間中心の体験創造を追求します。
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R&D事業(当事者発想ラボ): 社会課題から企業の事業成長の源泉を発掘し、社会実装を目指します。
コーポレートサイト: https://styz.io/

