音声情報アクセシビリティとは?「聞こえにくい」を解消する社会の実現へ

駅、空港、劇場、スタジアムなど、私たちの身の回りには音声でしか伝えられない情報が数多く存在します。しかし、聴覚障害者だけでなく、高齢者や聞き取り困難症(聴力検査では異常がないにもかかわらず、特定の環境下で音声を聞き取りにくいと感じる症状)など、日本では5人に1人が「聞こえにくさ」を抱えていると言われています。このような状況に対し、誰もが音声情報にアクセスできる社会づくりを目指し、2026年3月25日に一般社団法人音声情報アクセシビリティが設立されました。

2026年7月1日からは、年間パートナー企業、企業会員、団体会員、障害当事者・保護者団体の募集を本格的に開始し、「音声情報をすべての人へ」という理念のもと、全国的なアライアンス(連携体制)の構築を進めています。

鉄道、空港、学校、病院など様々な公共の場所を背景に、「音声情報をすべての⼈へ」というメッセージを伝える画像です。

誰もが情報にアクセスできる「音声情報アクセシビリティ」の重要性

一般社団法人音声情報アクセシビリティが掲げる「音声情報アクセシビリティ」とは、難聴者やろう者だけでなく、高齢者、外国人、騒音環境などで聞き取りにくい人を含め、誰もが病院、学校、鉄道、空港、劇場などあらゆる場所で音声情報にアクセスできる社会を実現する考え方です。

この実現のためには、社会全体の理解促進を土台とし、音環境の整備、補聴器の適切な選択・調整、Auracast™などの補聴支援システムの活用、そして字幕や手話といった多様な情報保障を一体的に推進することが不可欠とされています。

誰もが音声情報にアクセスできる社会を目指す多角的な取り組み

一般社団法人音声情報アクセシビリティは、聞こえの多様性を理解する社会を築くために、多角的なアプローチで活動を展開しています。具体的には、以下の要素を包括的に推進しています。

この図は、聴覚に不安がある人も安心して社会に参加できる環境を構築するための多層的な取り組みを示しています。情報アクセスの拡大、補聴器や支援システムの導入、音環境の整備、そして社会全体の理解と共感の醸成が重要であることを伝えています。

Auracast™など最新技術を活用した補聴支援システム

特に注目されるのは、最新の補聴支援技術の活用です。同法人では、病院や公共交通機関、文化施設などで提供される音声情報を、次世代のワイヤレスオーディオ技術であるAuracast™(Bluetooth LE Audioの機能の一つで、一つの音源から複数の対応デバイスへ同時に音声をブロードキャストできる技術)で配信するシステムを想定しています。

このシステムでは、補聴器や人工内耳への直接的な補聴支援に加え、ARグラスによる字幕表示や、将来的にはテキスト情報から手話CGを生成するといった取り組みも視野に入れています。これにより、誰もが必要な情報にアクセスできる、より包括的な環境の実現を目指しています。

Auracast™を利用した聴覚支援システムの全体像を示す図です。送信機からサイネージへの表示、字幕表示、補聴器、ARグラスへの音声・文字情報伝送、そして将来的な手話CG生成の可能性が示されています。

専門家・当事者団体・企業が連携する全国アライアンスの力

音声情報アクセシビリティの実現を加速させるため、一般社団法人音声情報アクセシビリティは、多岐にわたる分野の専門家、障害当事者・保護者団体、そして企業との連携を積極的に進めています。多様な立場からの知見や経験を結集し、実証実験や共同研究、普及啓発活動、政策提言などを通じて、社会実装を着実に推進しています。

現在、以下のような専門家、団体、企業がアライアンスに参加しています。

【専門家(一部)】

  • アドバイザー:大沼 直紀(一般財団法人日本財団電話リレーサービス 理事長)

  • プロボノ:南 修司郎(国立病院機構東京医療センター 耳鼻咽喉科 科長)

  • コラボレーター

    • 伊藤 芳浩(NPO法人インフォメーションギャップバスター 理事長)

    • 阪本 浩一(大阪公立大学 特任教授)

    • 江洲 欣彦(耳ときこえの専門クリニック 院長)

    • 錦織 朋之(にしこおり耳鼻咽喉科クリニック 院長)

【障害当事者・保護者団体】

【年間パートナー企業】

「一般社団法人 音声情報アクセシビリティ」のロゴ画像です。AIAの文字と団体名が英語と日本語で併記されています。

「無意識の前提」としての音声情報アクセシビリティへ

代表理事の吉岡英樹氏は、「私たちが目指すのは、音声情報アクセシビリティが『特別な配慮』ではなく、『無意識の前提』となる社会です」と語っています。誰もが当たり前に音声情報へアクセスできる環境を実現するため、今後も多様な専門家、障害当事者・保護者団体、企業、さらには政府や行政とのアライアンスをさらに広げ、社会実装を着実に進めていく方針です。

この取り組みは、単に聞こえにくい人への支援に留まらず、社会全体のコミュニケーションを豊かにし、誰もが参加しやすいインクルーシブな社会を築くための重要な一歩となるでしょう。

一般社団法人音声情報アクセシビリティについて

一般社団法人音声情報アクセシビリティは、すべての人々が音声情報にアクセスできる社会の実現を目指して活動しています。

  • 設立:2026年3月25日

  • 所在地:東京都世田谷区用賀4-9-12 Astage用賀 B1

  • 公式サイトhttps://aiaalliance.jp/

  • お問い合わせ:contact@aiaalliance.jp

  • 担当者:吉岡 英樹(代表理事)

【理事】

  • 代表理事:吉岡 英樹(東京工科大学メディア学部 講師)

  • 理事:石田 彩(言語聴覚士)

  • 理事:似鳥 純一(医療法人社団IBUKI 理事長)


Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77