認定NPO法人フローレンスが推進する「障害者雇用×DX」の最前線

認定NPO法人フローレンスは、「こどもたちのために、日本を変える」という理念のもと、病児保育や障害児保育、看護、認可保育など多岐にわたる事業を展開しています。組織が急速に拡大する中で、業務マニュアルの更新管理が滞り、口頭での説明による業務品質のばらつきや属人化が課題となっていました。

このような状況を打開するため、フローレンスは株式会社スタディストが提供するAIマニュアル「Teachme Biz(ティーチミー・ビズ)」を導入。特に、障害のあるスタッフ11名で構成される障害者雇用チーム「オペレーションズ」が、このツールの活用を牽引し、大きな成果を上げています。

福祉現場の生産性向上を実現!年間6,000時間超の余力創出の秘訣

フローレンスでは、Teachme Bizの導入により、2025年度には年間6,000時間超の業務余力を創出することに成功しました。この余力は、保育士や看護師といった専門職がノンコア業務から解放され、本来のコア業務に集中できる体制を構築した結果です。

障害者雇用チーム「オペレーションズ」の活躍とKPI

オペレーションズは、依頼元の部署にどれだけの時間を創出できたかをKPI(成果指標)に掲げ、総務業務のほか、各事業部からの業務を請け負っています。しかし、導入前は文字中心の複雑なマニュアルでは、障害のあるスタッフが自律的に業務を遂行することに限界がありました。

この課題を解決するため、Teachme Bizが導入されました。

誰でもわかる「画像メイン・テキスト最小限」マニュアルの力

Teachme Bizは、オペレーションズ向けの業務マニュアルとしてだけでなく、全スタッフが日常的に参照する情報インフラとして活用されています。

ヘレン中村橋の清掃全体マニュアルの例
画像は、保育園の清掃業務マニュアルの一例です。何をどのように拭くのかを写真で具体的に示すことで、言語理解の特性にかかわらず、誰もが高い衛生基準を維持できる仕組みを構築。これにより、ユニバーサルデザインに基づいた「画像メイン・テキスト最小限」のマニュアル作成が実現しました。

業務の標準化と全社への波及効果

オペレーションズが新たな業務を請け負う際、その手順をTeachme Bizで標準化し、マニュアルを「納品物」として依頼元部署へ渡すという運用が実施されています。この取り組みが、Teachme Bizの使いやすさを他部門に実感させ、自発的なマニュアル作成へとつながる好循環を生み出しました。結果として、Teachme Bizは全社の業務標準を支える共通の情報基盤として定着。経営会議で「全社標準システム」と決定され、各部門長がマニュアル化率を定期報告する体制が構築されるまでに至っています。現在では2,400件以上のマニュアルが蓄積され、組織の持続的成長を支える重要な基盤となっています。

また、業務管理ツールとTeachme Bizを連携させ、管理アプリ上の作業一覧からマニュアルURLへ直接遷移できる導線を整備。これにより、多様な業務を請け負うオペレーションズのスタッフが迷うことなく作業に取り組める環境が整い、誰が対応しても均一な業務品質が保たれています。

持続可能な障害者雇用モデルの確立と社会への貢献

8年間離職者ゼロ!心理的安全性の高い職場環境

Teachme Bizの導入は、業務効率化だけでなく、障害のあるスタッフの心理的安全性向上にも大きく貢献しています。「Teachme Bizを見れば、誰かに聞かなくても正解がわかる」という環境が、スタッフが自律して働ける自信を育み、チーム立ち上げから8年間、障害のあるスタッフの離職者がゼロという驚くべき実績を継続しています。自身の力で業務を完遂できることが、新しい業務にチャレンジしたいという意欲にもつながっています。

認定NPO法人フローレンス 総務・障害者雇用チーム ジョブコーチ 和田 直美氏は、Teachme Bizを「障害のあるスタッフにとっての『心の拠り所』」と表現し、「画像で視覚的に理解できるマニュアルがあることで、彼らは誰かに頼り切ることなく自律して働けるようになりました。結果として、保育士や看護師がコア業務と向き合う時間を生み出し、支援や組織の質の向上へと繋がっています」とコメントしています。

「障害者雇用×DX」の成功モデルを社会へ

フローレンスは、障害のあるスタッフとともに働くことが自然であるという体験を社会に広めることを目指しています。2026年度からは、近隣企業からの業務受託のトライアルを開始し、採用や実習生受け入れの伴走支援、清掃や事務業務の業務委託を通じて、「障害者が隣で働く機会」を増やしていく方針です。

「障害のあるスタッフとともに働くことが当たり前である」という体験を社会に広めることで、障害の有無にかかわらず誰もが能力を発揮し、自律的に活躍できる組織モデルを世の中に提示し続けることを目指しています。

この取り組みは、「Teachme Biz Award 2025」において、多様な人材の活躍を実現した企業に贈られる「ダイバーシティ賞」を受賞するなど、高く評価されています。

Teachme Bizについて

Teachme Bizは、わかりやすいマニュアルの作成から活用・更新までをAIが担う「AIマニュアル」です。動画・PDF・文章からのマニュアル自動生成、文章アシスト、AI検索などの機能を提供し、現場のムリ・ムダ・ムラを解消することで、生産性向上と継続的な改善を支援します。国内外2,300社以上で活用され、マニュアル作成・現場教育市場のスタンダードとして高い評価を得ています。
詳細はこちらから:

リーンオペレーションとは

株式会社スタディストが提唱するリーンオペレーションは、業務の「ムリ・ムダ・ムラ」を取り除き、効率化で生まれた余力を「価値強化」に再投資することで、組織全体の生産性と持続的な成長を実現する継続的な改善プロセスです。業務の可視化・標準化・単純化・徹底化を通じて、筋肉質な組織を目指し、コア業務に注力できる体制構築を支援します。
スタディストのビジョンについて:

フローレンスの事例は、障害者雇用とDXを組み合わせることで、福祉現場の生産性向上と持続可能な職場環境を実現できることを示しています。今後、このような取り組みがさらに多くの企業や団体に広がり、障害の有無にかかわらず誰もが活躍できる社会の実現に貢献することが期待されます。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77