がん共生社会への挑戦:広がる運動腫瘍学の可能性とリハビリ支援

日本のがんサバイバーは現在約350万人にも上り、毎年約100万人が新たにがんと診断されています。医療の進歩により5年生存率は64.1%まで向上し、がんは「治療後の生活」を含めて向き合う時代へと変化しています。

しかし、がん治療に伴う体力低下や生活機能の課題は、患者さんのQOLに大きな影響を与えることが知られています。このような課題に対し、運動やリハビリテーションの重要性は国内外の研究で示されており、がん治療と並行して運動を科学的に取り入れる「エクササイズ・オンコロジー」が世界的に注目されています。

Rehab for JAPANはこれまで、科学的介護ソフト「Rehab Cloud」を通じて、介護・医療領域におけるリハビリ支援とデータ活用に強みを発揮してきました。このたび、がん領域における豊富な経験を持つ小野薬品工業株式会社、そしてがん患者さん向けの治療生活サポートツールを提供する株式会社michitekuと連携し、がん患者さんやがんサバイバーの新しい支援のあり方を共に検討していくとのことです。

がんサバイバーを取り巻く現状と「エクササイズ・オンコロジー」の重要性

がんサバイバーの数は年々増加しており、厚生労働省の資料では、2022年10月時点で日本のがん患者数推計(5年有病数)は約350万人とされています。また、医薬産業政策研究所の将来推計によれば、全国のがん罹患者は今後も増え続ける見込みです。一方で、ONO MEDICAL NAVIによると、がんの5年相対生存率(全がん)は着実に向上しており、がんが「治る病気」へと近づいていることが分かります。

この背景から、治療後の生活の質をいかに保ち、健康寿命を延伸していくかが喫緊の課題となっています。エクササイズ・オンコロジーは、がん患者さんの体力維持・向上、精神的な安定、そして社会生活への復帰を促す上で極めて重要な役割を担うと考えられています。

がん患者のQOL向上と健康寿命延伸を目指す具体的な取り組み

Rehab for JAPANは、今回の第三者割当増資を受けて、小野薬品工業グループとの連携を強化し、がん患者さんを多角的に支援するための具体的な取り組みを進めていく予定です。

専門職による運動支援サービスで生活の質を向上

がん領域における運動支援サービスの検討が進められています。がんの特性を理解したリハビリ専門職が、患者さん一人ひとりに寄り添い、日常生活で継続しやすい適切な運動指導を提供するサービスです。これにより、経過観察中や化学療法中など、通院中のがん患者さんが抱える体力低下の悩みを解決し、QOL(生活の質)とADL(日常生活動作)の向上を実現することを目指します。

エクササイズ・オンコロジーの普及と啓発活動

エクササイズ・オンコロジーの概念や重要性に関する理解促進にも積極的に取り組みます。関係する企業、医療従事者、そして患者さんとの連携を通じて、運動支援が医療現場や日常生活の中でより自然な選択肢となる環境づくりを進めていくとのことです。

データ活用で拓く健康寿命延伸プラットフォーム

Rehab for JAPANが介護現場から得られる高齢者データや、その他事業を通じて得られる患者さんのデータを活用し、健康寿命延伸に向けたケアサービスプラットフォームの構築を目指します。様々なステークホルダーと連携しながら、患者さんの生活全体を支援できる仕組みを築くことで、個別最適化されたサポートの提供が期待されます。

株式会社Rehab for JAPANについて

「介護に関わるすべての人に夢と感動を」をビジョンに掲げ、高齢者の健康寿命延伸に貢献するスタートアップ企業です。科学的介護ソフト「Rehab Cloud」やオンラインリハビリサービス「Rehab Studio」を通じて、エビデンスに基づいた科学的介護の実現を目指しています。

小野デジタルヘルス投資合同会社について

小野薬品工業株式会社のCVC(Corporate Venture Capital)であり、医薬品事業以外のヘルスケア分野のベンチャー企業等への投資を通じて、健康寿命の延伸と持続可能な社会の実現を目指しています。

小野薬品工業株式会社について

大阪市に本社を置き、がんや免疫・炎症、神経領域など、特に医療ニーズの高い分野で革新的な医薬品の創製に取り組む研究開発型の製薬企業です。

株式会社michitekuについて

小野薬品工業株式会社の100%子会社。「がんになっても怖くない、誰もがそう思えるような世界をつくる」をビジョンに掲げ、ヘルスケア分野における情報処理・情報提供サービス事業を展開し、がん患者さんを取り巻く社会的な課題の解決に取り組んでいます。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77