小倉和夫氏、笹川スポーツ財団上席特別研究員に就任:パラスポーツ研究の新たな幕開け

パラスポーツ、すなわち障害のある方が行うスポーツ全般の研究と振興において、重要な動きがありました。2026年3月31日に活動を終了した日本財団パラスポーツサポートセンターパラリンピック研究会の事業の一部が、笹川スポーツ財団へ移行することになりました。

この移行に伴い、前研究会代表を務めていた小倉和夫氏が、笹川スポーツ財団の上席特別研究員に就任しました。この人事は、国内のパラスポーツ領域における調査研究を一層深化させ、地域における障害児・者のスポーツ環境整備や参画人口拡大に向けた実践活動を加速させるものとして注目されています。

小倉和夫氏の広範な経験と専門性

新たに笹川スポーツ財団の上席特別研究員に就任した小倉和夫氏は、国際政治学や外交史を専門とし、長年にわたり国際交流基金顧問も務めるなど、幅広い分野で活躍してきました。特にパラスポーツ研究においては、「パラリンピックの原点を探って」や「パラリンピックを巡るパラドックス」といった多数の論文を発表しており、その知見は多岐にわたります。

1938年東京生まれの小倉氏は、東京大学法学部、英国ケンブリッジ大学経済学部を卒業後、外務省に入省。駐ベトナム大使、駐韓国大使、駐フランス大使などを歴任しました。また、国際交流基金理事長、東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会評議会事務総長、日本財団パラスポーツサポートセンター理事長などを務め、パラリンピック(障害者アスリートの世界最高峰の競技大会)およびパラスポーツの振興に深く関わってきました。

パラスポーツ研究の課題と未来への展望

小倉和夫上席特別研究員は、パラスポーツが認知度と競技力の向上とともに新たな局面を迎えていると指摘しています。競技によっては健常者の参加が進み、「障害者スポーツ」の概念自体が再考を迫られている現状があります。また、義足や車いすなどの技術革新は競技力を飛躍的に高める一方で、公正性や身体観に新たな問いを投げかけているとのことです。

さらに、エリート化や商業化、ジェンダー、国際政治といった問題もパラスポーツ領域に影響を及ぼしつつあります。小倉氏は、これらの動向を的確に捉え、その解決と普及に資する研究を推進し、研究者の育成が重要であると考えているとコメントしています。

笹川スポーツ財団とパラスポーツ研究の連携

笹川スポーツ財団は1991年に設立され、「スポーツ・フォー・エブリワン」(国民一人ひとりがスポーツを楽しむ社会)の実現を掲げ、「スポーツによる社会課題解決」を目的に研究調査活動を行っています。健康とスポーツ、障害者スポーツ、子どものスポーツなどが主な研究テーマです。今回の小倉氏の就任と研究事業の移行は、同財団のパラスポーツ領域における研究活動を大幅に強化するものです。

これまで日本財団パラスポーツサポートセンターパラリンピック研究会は、2014年6月の設立以来、パラスポーツやパラリンピックが社会に与える影響や大会の社会的価値について多角的な調査・研究を実施してきました。この蓄積された知見が笹川スポーツ財団の研究成果と融合することで、より実践的で影響力のある研究活動が期待されます。

詳細については、笹川スポーツ財団の公式ウェブサイトをご覧ください。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77