日本初の手話サークル誕生秘話を描く舞台『歩きはじめる時』

チーム・クレセントが主催する第8回公演『歩きはじめる時』は、2022年に第29回OMS戯曲賞大賞を受賞した山脇立嗣氏の脚本「わたしのこえがきこえますか」の前日譚スピンオフ作品です。この舞台は、昭和38年という手話が禁じられていた時代を背景に、日本で初めて手話サークル「みみずく」を立ち上げた一人の看護学生の物語を実話に基づいて描きます。

主人公の清原は、熊本から京都へ看護の道を志してやって来た中で、耳の聞こえない患者・西野と出会います。かつて医大で学んでいた西野は、失聴を機に進路を断たれ、聾学校で助手として働いていました。ある日、清原は西野と仲間たちが「手」と「表情」だけで、音もなく生き生きと語り合う姿を目にし、それが「手話」であることに深い衝撃を受けます。この出会いをきっかけに、清原の中で何かが動き出し、手話を学び、人の痛みや願いに寄り添える看護婦になろうと誓い、やがて日本初の手話サークル「みみずく」の創設へと歩み出していく姿が丁寧に描かれます。

この物語は、声にならない声が形を得ていく過程を通して、観客に手話の持つ力と、コミュニケーションの可能性を伝えます。演劇という形で生きた言語としての手話に触れることは、差別や偏見の解消に寄与し、共生社会実現の一助となることを目指しています。

ろう者と聴者が共に創り上げる舞台、共生社会へのメッセージ

『歩きはじめる時』は、「ろう者×聴者 共に創り上げる」というコンセプトのもと、多様な出演者とスタッフによって制作されています。脚本は山脇立嗣氏、監修はふじたあさや氏、演出は片山美穂氏と山田さおり氏(チーム・クレセント)が担当します。

この舞台は、単に歴史を振り返るだけでなく、現代社会におけるコミュニケーションのあり方や、多様性を尊重する社会の重要性を改めて問いかけます。手話という言語を通じて、異なる背景を持つ人々がどのように理解し合い、支え合っていくのかを深く掘り下げた作品です。

公演詳細とアクセシビリティ情報

公演は2026年6月18日(木)から6月22日(月)まで、シアターグリーン BASE THEATER(豊島区南池袋2丁目20−4)にて上演されます。

出演者

  • 新里 乃愛(チーム・クレセント)

  • 近藤 辰哉

  • 佐田 明

  • 光永 勇輝

  • 春田 ゆり

  • 宮川 知久(Pカンパニー)

  • 小野 花音

  • MiCHi

公演スケジュール

  • 6月18日(木)19:00

  • 6月19日(金)14:00/19:00

  • 6月20日(土)14:00★/19:00

  • 6月21日(日)14:00/19:00

  • 6月22日(月)12:00

開場・受付開始は各開演の30分前です。★印のステージでは出演者によるアフタートークが予定されています。

誰もが楽しめるバリアフリーな観劇体験

この舞台は、誰もが安心して観劇できるよう、アクセシビリティに配慮した取り組みが行われています。

  • 全ステージ・オープン字幕付き:聴覚に障害のある方も物語を深く理解できます。

  • 受付に手話のできるスタッフ:来場時のコミュニケーションをサポートします。

  • 障害者割引:各券種500円引き(要予約、障害者手帳またはミライロID提示)。

  • 車椅子での入場可:車椅子を利用される方も安心して観劇できます(要予約)。

  • 台本付与:希望者には台本が提供されます(6/4までに要予約)。

チケット情報

チケットは全席自由で、一般5,000円、高校生以下3,500円です。障害者割引も利用可能です。2026年4月11日(土)10:00より、カンフェティにて販売開始しています。

この舞台は、過去の物語を通して、現代そして未来の共生社会のあり方を考える貴重な機会となるでしょう。手話や障害福祉に関心のある方はもちろん、心温まるヒューマンドラマを求めている方にもぜひ足を運んでいただきたい公演です。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
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