障がい児と家族の「外出困難」を乗り越える音楽体験

重症心身障がい児や医療的ケア児とそのご家族にとって、外出や特別な体験をすることは、様々な課題を伴う場合があります。厚生労働省が2019年に実施した調査によると、医療的ケア児と暮らす家族の65.3%が「医療的ケアを必要とする子どもを連れての外出は困難を極める」と回答しています。これは、乳幼児用ではないおむつ交換スペースや、医療機器の電源確保、移動時の介助、きょうだい児の見守りなど、多岐にわたる配慮が必要となるためです。

外出困難を示すデータ

このような状況から、コンサートやイベントへの参加をためらう家族も少なくありません。また、同じ調査では、医療的ケア児とその家族の51.3%が「社会から孤立していると感じる」と回答しており、情報やコミュニティの不足も大きな課題となっています。

孤立感を示すデータ

COCOLONは、この社会課題の解決を目指し、重症心身障がい児や医療的ケア児、そしてそのきょうだいや家族が安心して参加できるイベントを全国で企画・開催しています。音楽や遊びといった体験機会を創出し、家族同士のつながりや地域との接点を持つ場を提供することで、「家族でお出かけを楽しむ」ことが当たり前になる社会の実現を目指しています。

神戸開催の背景と地域連携の重要性

今回の神戸市北区での開催は、2026年1月に神戸市内で開催された「0歳からのファミリーコンサート」が好評を博し、「安心して楽しめた」「また神戸で開催してほしい」という声が多く寄せられたことを受けての第2弾となります。地域に根差した活動を重視し、今回は「こどもデイ はれいろ」との共同企画・運営により、より多くの家族が参加しやすいコンサートを目指しています。

ありまホールが提供するインクルーシブな会場環境

開催場所となる「北神区文化センター ありまホール」は、重症心身障がい児や医療的ケア児とその家族が安心して利用できるよう、様々な配慮がなされています。車いすやバギーでも移動しやすい広いスペースが確保されており、常設のおむつ交換スペースにはユニバーサルベッドが2台完備されています。ユニバーサルベッドとは、様々な体格や介護状況に対応できるよう設計された、高さ調節可能な多機能ベッドのことです。

また、会場内には、ごろんと寝転んで鑑賞できるマット席と、ロールバックチェアの固定椅子席が設けられ、子どもたちとご家族がそれぞれのペースで音楽を楽しめる空間が提供されます。こうした細やかな配慮により、家族全員がリラックスしてコンサートを体験できる環境が実現されています。

コンサートの様子

多目的トイレのユニバーサルベッド

家族みんなで楽しめる4つの安心ポイント

本コンサートは、重症心身障がい児や医療的ケア児、そのきょうだい、ご家族が安心して音楽を楽しめるよう、以下の4つのポイントに工夫が凝らされています。

  1. 静かにできなくても大丈夫
    声が出ても、体を動かしても、泣いてしまっても、途中での入退場も自由です。医療機器の音が鳴っても気兼ねなく参加できる、重症心身障がい児・医療的ケア児を中心に考えられたコンサートです。
  2. 安心して楽しめる会場づくり、ホールデビューに最適な環境
    マット席が設置され、ごろんと寝転びながら鑑賞できるほか、車いすやバギーでも参加しやすい会場環境が整っています。おむつ交換スペースにはユニバーサルベッドが2台完備されており、小さな子どもとのホールデビューにも適しています。
  3. プロの演奏家とうたのおねえさんによる参加型コンサート
    音楽大学を卒業したプロの演奏家とうたのおねえさんが、おなじみの楽曲を演奏します。毎回好評の「即興リクエストコーナー」も予定されており、子どもたちの笑顔を引き出すでしょう。
  4. 兵庫県マスコット「はばタン」が会場に登場!
    今年は兵庫県マスコット「はばタン」がコンサートに遊びに来ます。子どもたちとのふれあいを通じて、会場を一緒に盛り上げます。

「0歳からのファミリーコンサート」開催概要

  • イベントタイトル: 0歳からのファミリーコンサート “すべての子どもたちに届ける音楽体験”

  • 開催日: 2026年9月19日(土)

  • 時間:

    • 【1部】11:00開場 / 11:30開演

    • 【2部】13:30開場 / 14:00開演

  • 場所: 北神区文化センター ありまホール (神戸市北区藤原台中町1-3-1)

  • 定員: 各回30組120名

  • 参加費:

    • 【COCOLON会員】大人:500円、子ども:無料

    • 【一般】大人:1500円、子ども:500円

  • 特別後援: 公益財団法人JKA

    • 本イベントは公益財団法人JKA、オートレースの補助を受けて実施されます。

申し込み方法

  1. COCOLONオンラインサイト内のイベントページにアクセスし、要項・詳細をご確認ください。
  2. イベントページ内のボタンより申込ページに遷移し、チケットを購入してください。
  3. フォームを送信すると、申込が完了します。

    • COCOLON会員の方も申込が必要です。

イベント詳細およびお申し込みはこちら: https://co-co-lon.com/event/kobe26concert/

主催・共催団体について

特定非営利活動法人EPO(COCOLON)

特定非営利活動法人EPOは、2015年4月に設立され、2016年からは重症心身障がい児を対象とした児童発達支援・放課後等デイサービス「ここね」を運営し、これまで延べ200名以上の子どもたちを支援してきました。東京都足立区・江戸川区で4事業所を展開しています。

また、重症心身障がい児と家族・きょうだい・支援者のためのコミュニティ「COCOLON」を運営しており、「つながり」「学び」「遊び」「楽しみ」を提供しています。COCOLONは、障がいの有無に関係なく参加できる様々な企画やイベントを通じて、交流や情報交換の場を提供し、重症心身障がい児とそのご家族がより良い暮らしを送ることを支援しています。2025年には、第19回キッズデザイン賞〈奨励賞〉、令和7年度東京都女性活躍推進大賞〈大賞〉を受賞しています。

COCOLONサイト: https://co-co-lon.com/

共催:こどもデイ はれいろ

「こどもデイ はれいろ」は、神戸市北区に拠点を置く児童発達支援事業所で、重症心身障がいや医療的ケアに対応しています。居宅訪問型児童発達支援事業も行っており、「どんな障がいがあったとしても、子どもたちとその家族も含めて誰ひとりとして取り残さない」という理念のもと、保育園のように発達を支援する場として、また家族のレスパイト(一時的な休息)の機会も大切にしています。

こどもデイ はれいろ ロゴ

まとめ

神戸市北区で開催される「0歳からのファミリーコンサート」は、重症心身障がい児や医療的ケア児とその家族が直面する外出の困難さや社会からの孤立といった課題に対し、音楽を通じて解決策を提示する画期的な取り組みです。インクルーシブな環境が整えられた会場と、プロによる質の高い音楽体験、そして地域との連携によって、参加するすべての家族にとって忘れられない一日となるでしょう。

このようなイベントが全国に広がり、「家族でお出かけを楽しむ」ことが特別なことではなく、当たり前の社会になることを期待します。障害福祉に関心のある方は、ぜひこの機会に、インクルーシブな社会の実現に向けた取り組みに触れてみてはいかがでしょうか。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77