スペシャルオリンピックス日本とS.C.P. Japan、連携協定で「セーフスポーツ」推進へ

スペシャルオリンピックス日本は、知的障がいのある人たちに日常的なスポーツトレーニングと競技会を提供している国際的なスポーツ組織です。一方、S.C.P. Japanは「スポーツを通じて、一人ひとりが自分らしく歩んでいける未来をつくる」をビジョンに掲げ、インクルーシブなスポーツイベントや教育プログラムを展開しています。

今回の連携協定を通じて、両団体はそれぞれの持つ知見やネットワーク、リソースを活かし、相互に連携・協力する体制を構築します。これにより、知的障がいのあるアスリートをはじめ、スペシャルオリンピックスに関わる全ての関係者が安心・安全にスポーツに参加できる環境づくりに貢献することが期待されています。

セーフスポーツとセーフガーディングとは?

  • セーフスポーツ:障がいの有無にかかわらず、誰もがハラスメントや虐待の心配なく、安心して自分らしく楽しめるスポーツ環境を指します。

  • セーフガーディング:児童虐待やハラスメントから子どもや脆弱な立場の人々を守り、安心・安全な環境を提供する取り組みのことです。スポーツ分野においては、アスリートが身体的、精神的、性的な危害から保護され、尊重される環境を確保するための包括的なシステムを意味します。

連携協定の具体的な取り組み:知識普及から調査研究、研修実施まで

本協定における具体的な連携事項は以下の通りです。

  • アスリート、ユニファイドパートナー、指導者、ボランティア、役職員等を対象としたセーフスポーツおよびセーフガーディングに関する知識の普及・啓発・情報発信(eラーニング等)

    • ユニファイドパートナー:スペシャルオリンピックスにおいて、知的障がいのあるアスリートと共に競技に参加する、知的障がいのないパートナーのことです。
  • セーフスポーツおよびセーフガーディングに関する調査研究、並びに知的障がいのある人々におけるセーフスポーツの推進

  • アスリート、指導者、関係者等を対象とした講習・研修等の実施

  • その他、本協定の目的達成に必要な連携・協力

知的障がい者向けセーフガーディングeラーニング教材を開発

この連携協定の一環として、日本財団の助成を受け、知的障がいのある子どもや成人アスリートの指導に関わる指導者等を対象としたeラーニング教材「子どもとアスリートのセーフガーディング基礎コース<知的障がい編>」が開発されました。

eラーニング「子どもとアスリートのセーフガーディング基礎コース<知的障がい編>」

eラーニング「子どもとアスリートのセーフガーディング基礎コース<知的障がい編>」とは?

本eラーニングでは、セーフガーディングの基本概念、子どもの権利とニーズ、信頼される大人としてのあり方、虐待や不適切な行動とは何か、組織としての取り組みといった基本事項に加え、特に知的障がいのある子どもや成人アスリートが直面しやすいリスクや、私たち大人が取るべき対応などを体系的に学ぶことができます。

この教材は、S.C.P. Japanが運営するSafe Sport Learningサイトにて、2026年7月より一般公開される予定です。また、SONとの連携を通じて、指導者、スタッフ、ボランティア等を対象とした展開も進められています。

なお、SONコーチ資格保有者の方々は、2026年10月以降にSON事務局から別途案内される受講方法に沿って、受講料の負担なく受講できる予定です。

日本財団助成「スポーツにおける子どもの安全保護システム構築プロジェクト」

S.C.P. Japanは、2025年4月より日本財団の助成を受け、「スポーツにおける子どもの安全保護(セーフガーディング)システムの構築プロジェクト」に取り組んでいます。このプロジェクトは、国際オリンピック委員会(IOC)が2024年に発表した「スポーツにおける対人暴力(Interpersonal Violence)とセーフガーディング」に関するコンセンサス声明や、国際サッカー連盟(FIFA)が公表しているセーフガーディング関連資料(FIFA Guardians)など、国際的な知見を参考に、日本のスポーツ現場において実践可能なセーフガーディングの仕組みづくりを目指すものです。

各団体からのコメント:安心・安全なスポーツ環境への強い決意

スペシャルオリンピックス日本 理事長の平岡拓晃氏は、今回の連携協定について「大変心強く感じている」と述べ、アスリートをはじめとする全ての関係者が安心・安全にスポーツに参加できる環境づくりに貢献していく意向を示しました。

一般社団法人S.C.P. Japanは、今回のSONとの協定を通じて、「障害の有無にかかわらず、誰もが安心・安全な環境のもとでスポーツの恩恵を最大限に享受できる環境づくりに向けた新たな取り組みを推進してまいります」とコメントしています。

この連携協定とeラーニング教材の開発は、知的障がいのある人々がスポーツをより安全に、そして自分らしく楽しめる社会の実現に向けた重要な一歩となるでしょう。今後の取り組みの進展に注目が集まります。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77