中部地方初の地域型こどもホスピス「長久手のおうち」開所

2026年8月8日、愛知県長久手市に中部地方で初めてとなる地域型こどもホスピス「長久手のおうち」が開所します。これは、生命を脅かす病気や障がいとともに生きる子どもたちと、そのきょうだい・家族が安心して過ごせる「もうひとつの居場所」を提供することを目的としています。

「こどもホスピス」とは、生命を脅かす病気や障がいとともに生きる子どもとその家族が、医療ケアだけでなく、遊びや学び、家族との時間など、豊かな生活を送れるよう支援する施設です。病院では治療が優先され、自宅では家族がケアの担い手になりがちな状況において、子どもが子どもらしく遊び、家族が肩の力を抜いて過ごせる場所を目指しています。

この「長久手のおうち」の開設は、認定NPO法人 愛知こどもホスピスプロジェクト(ACHP)が中心となり、行政、医療機関、企業、地域住民、支援者など、多岐にわたる協働によって実現しました。特に、クラウドファンディングでは451人から903万円の支援が寄せられ、多くの人々の想いが形になった象徴的な施設といえるでしょう。

長久手のおうちの外観

地域に根ざした支援モデル

「長久手のおうち」は、病院や自宅に加えて、地域の中に子どもと家族の居場所が生まれるという新しい支援の形を提案しています。開所式には、長久手市長や名古屋市副市長をはじめ、医療関係者、利用者家族、支援企業らが列席し、地域全体で子どもと家族を支えるという強い意思が共有される予定です。

式典では、利用者家族からのメッセージやテープカット、フォトセッションが予定されており、株式会社サンゲツによる内装支援も、企業が専門性を生かして社会貢献する事例として紹介されます。この施設は、地域社会全体で子どもたちの「存分に生きる」時間を支える新しいモデルとなることが期待されます。

車いすテニス小田凱人選手とのスポーツ交流イベント

「長久手のおうち」の開所と同じ日、午後には日本生命保険相互会社とACHPの共同取組として、愛知県出身の車いすテニスプレーヤー、小田凱人選手を迎え、「小田凱人選手 スポーツ体験会&トークコーナー ~スポーツで広がる笑顔の輪~」が開催されます。

パラリンピアンとの貴重な体験

小田凱人選手は、9歳で骨肉腫(骨に発生する悪性腫瘍の一種)を発症し、10歳から車いすテニスを始めました。17歳でグランドスラム(テニスの主要な4つの国際大会の総称)優勝と世界ランキング1位を達成し、パリ2024パラリンピックでは男子シングルス金メダル、ダブルス銀メダルを獲得するなど、目覚ましい活躍を見せています。2025年には史上最年少で生涯ゴールデンスラムを達成しました。

このイベントでは、小田選手と一緒に身体を動かすスポーツ体験会と、夢や目標、挑戦することについて語るトークコーナーが実施されます。幼少期の闘病経験を持つ小田選手の言葉と存在は、参加する子どもたちとその家族にとって、スポーツの楽しさや身体を動かす喜び、そして未来への希望を感じる貴重な機会となるでしょう。

イベントは招待制で、病気や障がいにより生命が脅かされる状況にある子どもとその家族が対象となります。名古屋市緑区の諸の木テニス倶楽部 新・インドアコートで開催され、スポーツ体験会とトークコーナーの二部構成で行われます。

認定NPO法人 愛知こどもホスピスプロジェクト(ACHP)が目指す地域連携

認定NPO法人 愛知こどもホスピスプロジェクト(ACHP)は、生命を脅かす病気や障がいとともに生きる子どもと、そのきょうだい・家族が「存分に生きる」時間を地域で支えるため、こどもホスピスの実践・普及に取り組んでいます。

ACHP代表理事の畑中めぐみ氏は、「『長久手のおうち』は、建物をつくることがゴールではありません。病気や障がいがあっても、子どもが子どもらしく、きょうだいやご家族と一緒に“存分に生きる”時間を地域の中に増やしていく、その始まりです」とコメントしています。

このプロジェクトは、支える人と支えられる人を分け隔てない、新しい地域のつながりを育むことを目指しており、今回の開所と小田選手との交流イベントを通じて、子どもと家族の今日と未来を応援していくとしています。

継続的な支援について

愛知こどもホスピスプロジェクトは、個人寄付、法人・団体寄付、遺贈寄付など、様々な形での継続支援を募っています。詳細については、以下の公式ウェブサイトをご確認ください。

愛知こどもホスピスプロジェクトのロゴ

「長久手のおうち」の開所と小田凱人選手との交流イベントは、病気や障がいのある子どもとその家族が地域で豊かに生きるための新たな一歩となるでしょう。このような取り組みが全国に広がり、より多くの支援が必要な方々に届くことが期待されます。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77