埼玉県北本市が発行した『広報きたもと2026年10月号』では、医療的ケア児とそのご家族の日常に密着した14ページの特集「だって、愛くるしい。」が掲載されています。本記事では、医療的ケア児の暮らしや課題、地域で支える専門職の役割を解説します。
💡 この記事で分かること
- 広報きたもと特集「だって、愛くるしい。」の全貌:医療的ケア児と家族の1日に密着した14ページの特別企画
- 医療的ケア児を巡る基礎知識と専門用語:「胃ろう」「たんの吸引」「18歳の壁」などの分かりやすい解説
- 地域で生活を支える多職種連携:保育士、相談支援専門員、医師が果たす支援の役割
- 2026年10月開催「医療的ケア児者の写真展」の概要:身近な地域で当事者の日常を感じるイベント情報
医療的ケア児と家族の「いつもの毎日」とは?埼玉県北本市の先進的な取り組み
広報紙の14ページ大特集「だって、愛くるしい。」が伝える日常の実像
埼玉県北本市では、広報紙『広報きたもと2026年10月号』において、全36ページのうち14ページを割いた特集「だって、愛くるしい。」を発行しました。発行部数は3万2,000部にのぼります。
本特集では、ケアの内容や年代が異なる2組のご家族の1日に密着し、写真と当事者の言葉を通してその暮らしぶりを伝えています。胃ろうを通じた朝ごはんやたんの吸引といった医療的ケアをはじめ、療育へのお出かけやきょうだいとの触れ合いなど、ごく日常的な時間が丁寧に描かれています。
「医療的ケア児」という言葉からは、ケアの難しさや支援の必要性を想起する人が多いかもしれません。しかし紙面では、ご家族の役割分担や利用している福祉サービスに触れつつ、ケアの場面だけでなく、笑顔や触れ合いに満ちたご家族の時間が紹介されています。
専門用語解説:医療的ケア児・胃ろう・たんの吸引・療育とは?
障害福祉分野のニュースを理解するうえで知っておきたい基本的な専門用語を整理します。
- 医療的ケア児:人工呼吸器の装着、経管栄養、たんの吸引など、日常生活の中で恒常的な医療的ケアを必要とするお子さんのことを指します。
- 胃ろう:手術によってお腹に小さな穴(ろう孔)をあけ、チューブやボタンを通して胃へ直接栄養や水分を摂取させるケア方法です。
- たんの吸引:自力での吐き出しが難しい唾液やたんを、専用の吸入・吸引機器を用いて体外へ排出する処置のことです。
- 療育(児童発達支援・放課後等デイサービス):障害のあるお子さんに対し、日常生活における基本動作や社会適応力を養うために実施される専門的な支援や訓練を指します。
障害福祉の現場を支える専門家と地域支援の役割
当事者家族から相談支援専門員、医師まで―地域で育む支援の輪
特集内では、当事者家族の日常描写にとどまらず、現場で医療的ケア児者と関わり生活を支える支援者3名へのインタビューが掲載されています。
- 子育てサロンを主宰する保育士:自らも医療的ケア児の母親であった経験を活かし、孤立しがちなご家族の居場所づくりとして子育てサロンを開設しています。
- 相談支援専門員:当事者やご家族一人ひとりの状況に合わせた福祉サービスへの橋渡しを行い、ともに成長を見守る役割を果たしています。
- 地域医療の連携に取り組む医師:救急現場で感じた課題意識から、子どもから成人期まで途切れなく支える地域医療体制づくりを推進しています。
このように、保育・福祉・医療の各領域が連携を図りながら、地域全体で支える取り組みが進められていることが分かります。
専門用語解説:「18歳の壁」と相談支援専門員の役割
- 18歳の壁:医療的ケア児が18歳を迎えて成人に達する際、児童福祉法に基づく小児向けの支援制度から障害者総合支援法に基づく成人向けの制度へ移行する中で、受け入れ施設や医療機関の不足などによって切れ目のない支援が得られにくくなる課題を指します。
- 相談支援専門員:障害のある人やそのご家族の相談に応じ、適切な福祉サービスを利用するための「サービス等利用計画」を作成したり、関係機関との調整を担当したりする専門職です。
職員による完全内製!広報きたもとが届ける想いと背景
医療的ケア児支援法改正の波と北本市役所の挑戦
北本市が本特集を企画した背景には、2026年7月に実施された医療的ケア児支援法の改正や、市内で支援環境が広がりを見せている状況が存在します。
特筆すべき点として、今回の広報紙制作は企画・取材・執筆・撮影・デザイン・編集に至るまで、外部委託を行わず市職員が一貫して手がける「完全内製」で実施されたことが挙げられます。これにより、取材に応じた市民の想いがダイレクトに紙面へ反映されていると伝えられています。
担当者が実感した「特別なケアのそばにある家族の笑顔」
広報担当の職員は、取材開始前は医療的ケアのある暮らしを「特別で大変なもの」と捉えていたと振り返ります。しかし、ご家族と時間を共にする中で目にしたのは、ケアの傍らで広がる笑い声や、きょうだいがじゃれ合い成長を喜ぶ、ごく普通の家族の姿でした。
医療的ケアの有無にかかわらず、まず「一人の子ども」としての暮らしを知ってもらい、同じ地域に暮らす存在として想像を巡らせてほしいという願いから、タイトル「だって、愛くるしい。」が名付けられたと記載されています。
写真展で知る障害福祉のリアル|開催概要とアクセス
医療的ケア児者の写真展(2026年10月開催)の詳細情報
北本市では、紙面で紹介した日常を実際に体感する機会として、初開催となる「医療的ケア児者の写真展」を実施します。紙面に登場したご家族に加え、北本市や近隣地域で暮らす医療的ケア児者の日常風景を捉えた写真が展示される予定です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| イベント名称 | 医療的ケア児者の写真展 |
| 開催日時 | 2026年10月16日(金)11:00~17:002026年10月17日(土)11:00~16:00 |
| 開催場所 | エルミこうのすショッピングモール 1階セントラルコート(埼玉県鴻巣市本町1丁目1-2) |
| 参加費 | 入場無料 |
| 問合せ窓口 | 鴻巣・北本地域障がい者基幹相談支援センター(鴻巣事務所:048-501-2444 / 北本事務所:048-577-5947) |
よくある質問(Q&A)

Q1. 医療的ケア児とは具体的にどのような子どもを指しますか? A1. 人工呼吸器の利用や胃ろうによる経管栄養、たんの吸引など、日常生活において医療的な処置や管理を必要とするお子さんのことを指します。
Q2. 「18歳の壁」にはどのような対策が進められていますか? A2. 小児期から成人期へのスムーズな移行を目指し、救急現場や地域医療機関、福祉事業所が連携した移行医療体制の構築や、受け入れ先の確保に向けた取り組みが進められています。
Q3. 10月に開催される写真展は、事前予約が必要ですか? A3. 入場無料で事前予約の指定はなく、ショッピングモール内の会場でどなたでも見学できる形で開催されます。
Q4. 地域で暮らす医療的ケア児やご家族を支援したい場合、どこに相談できますか? A4. 各地域の基幹相談支援センターや自治体の障害福祉窓口などが相談先となります。北本市周辺では鴻巣・北本地域障がい者基幹相談支援センターなどが各種相談に対応しています。
まとめ|一人の子どもとして寄り添う障害福祉の未来へ

埼玉県北本市が発行した広報特集「だって、愛くるしい。」は、医療的ケア児とそのご家族が歩むありのままの日常に光を当てた画期的な企画です。
医療的ケアが必要であっても、そこには子どもらしい笑顔やご家族の温かな営みが確かに存在しています。専門的な福祉サービスや医療体制の充実を図ることに加え、地域住民一人ひとりが関心を持ち、理解を深めていくことが、互いに支え合える社会づくりにつながると考えられます。



