『I’mPOSSIBLE』日本版、アニメーション教材第三弾が公開!

国際パラリンピック委員会(IPC)が公認する教育プログラム『I’mPOSSIBLE』の日本版に、新たなアニメーション教材の第三弾が加わったことが発表されました。この教材は、小学生版と中学生・高校生版の両方に共通して「パラリンピックってなんだろう?」というテーマが設定されています。

パラリンピックは単なるスポーツの祭典にとどまらず、多様な人々が参加する機会や可能性を広げるための「工夫」が集積された場でもあります。本教材は、その視点から子どもたちが自ら考え、学びを深められるよう設計されています。

アニメーション教材第三弾は、『I’mPOSSIBLE』日本版公式サイト(https://iam-possible.online/)より無料で利用可能です。

共生社会とインクルーシブ教育を推進する『I’mPOSSIBLE』教材の魅力

『I’mPOSSIBLE』日本版は、パラリンピックの理念や競技における工夫を通じて、「みんなで参加できる方法」や「誰もが参加の機会を奪われない社会」について子どもたちが考える機会を提供します。

アニメーションで深まる学び:『I’mPOSSIBLE』教材の主な特徴

この教材は、以下の特徴を通じて、子どもたちの主体的な学びと共生社会への意識を育むことを目指しています。

  • アニメーションによる授業展開: 導入からまとめまでアニメーション映像が授業を進行し、子どもたちの多様な答えを引き出す構成です。

  • 主体的な学びを促す設計: ICTに対応した操作性で、「気づき、考え、行動する」学習を支援します。

  • 教員の負担軽減: 指導案やワークシートなどが完備されており、授業準備の負担を抑えて実施できます。

  • 幅広い活用シーン: 総合的な学習(探究)の時間、道徳、学級活動など、様々な場面で活用が可能です。

  • 行動変容につながる学び: 違いを尊重し、「共に参加する方法」を考えることで、日常生活における行動へと接続されることが期待されます。

インクルーシブな社会とは、性別、人種、国籍、障害の有無などに関わらず、すべての人が尊重され、参加できる社会を指します。

I'mPOSSIBLEの教育ウェブページ

小学生向け教材:身近な視点から「みんなで参加」を考える

小学生版教材では、パラリンピック競技の映像を手がかりに、多くの人が参加できるように工夫された用具やルールに注目します。どうすれば「みんなが一緒に参加できるか」という視点で学習が進められます。

ボッチャやブラインドフットボールを題材にしたグループワークでは、提示されたヒントをもとに児童同士が意見を出し合いながら考察を深めます。さらに、身近な学校生活の例として「そうじの時間」を取り上げ、異なる特性のある友だちと共に活動するための工夫を考えます。

「協力する」「やり方を変える」「決めつけず本人に聞く」といった観点を通して、当たり前を見直し、共に参加できる方法を主体的に探る力を育むことを目指します。

小学生版教材の詳細はこちらから確認できます。
https://iam-possible.online/primary-school03/

東京・パリの金メダリストが登場!+アルファ映像

小学生版の「+アルファ映像」(https://iam-possible.online/primary-school03/alpha.html)には、東京2020パラリンピック競技大会で金メダルを獲得した水泳の山口尚秀選手(SB14クラス)や、パリ2024パラリンピック競技大会で金メダルを獲得した柔道の瀬戸勇次郎選手(73Kg級J2クラス)らが登場し、子どもたちにメッセージを伝えます。

パラ水泳の山口尚秀選手

中学生・高校生向け教材:多様な他者との共生社会を実現するために

中学生・高校生版教材では、パラリンピックの歴史やその価値への理解を基盤に、「誰もが参加する機会を奪われない社会」のあり方について考察します。競技における用具やルールの工夫を通じて、参加を可能にする視点を学ぶとともに、バリアフリー化が進む町を題材に、誰もが利用しやすい環境づくりについて検討します。

バリアフリーとは、障害のある人が社会生活を送る上で障壁となるものを取り除くことです。物理的な障壁だけでなく、情報、制度、意識の障壁も含まれます。

設備面の整備にとどまらず、実際に利用する人とコミュニケーションをとりながらよりよい状況を作るための取り組みや、その場にいる一人ひとりの行動の重要性にも目を向けます。多様な他者に共感する力を前提とした共生社会の実現に向けて、自分たちにできることを主体的に考える構成です。

中学生・高校生版教材の詳細はこちらから確認できます。
https://iam-possible.online/high-school03/

パラリンピックを支える人々:+アルファ映像

中学生・高校生版の「+アルファ映像」(https://iam-possible.online/high-school03/alpha.html)には、パラリンピックに関わる多様な立場の人々が登場します。競技者として挑戦を続けるアスリート、技術で支える義足エンジニアの遠藤謙さん、そしてその姿を社会に伝える表現者など、それぞれの視点からインクルーシブな社会をつくるために大切なことが語られるインタビューが収録されています。

オンライン会議の様子

『I’mPOSSIBLE』日本版とは?その理念と活用実績

『I’mPOSSIBLE』は、国際パラリンピック委員会(IPC)が開発した国際的な教育プログラムで、現在約40か国で活用されています。世界中の子どもたちがパラスポーツを題材に、パラリンピックの価値や、インクルーシブな世界作りに必要な理念を理解できるよう制作されたものです。

日本版は、このIPCが制作した国際版教材をもとに、日本の教育現場での活用しやすさを考慮して開発されました。パラリンピックを題材に、共生社会への気づきを子どもたちに促す教材として、以下のような内容が含まれています。

  • 誰も取り残さず、様々な違いのある人たちと一緒に楽しく活動するための考え方のヒント

  • 公平について考えさせる話題

  • 人権感覚を育むきっかけ

総合的な学習(「多様な他者の意見を尊重しようとする態度」「自己の役割や責任を果たして生活しようとする態度」「よりよい人間関係を形成しようとする態度」を育むための活動)、体育(体育理論)、道徳(公正・公平)、家庭科(バリアフリー)などの授業の他、人権教育などでも活用されており、累計ダウンロード数は21万件を達成しています(2026年5月末現在)。

『I’mPOSSIBLE』の教材名の由来と「障害」表記について

教材名「I’mPOSSIBLE」は、「Impossible(不可能)」という単語にアポストロフィ「’」を加えた造語で、「I’m possible(私はできる)」という意味が込められています。「’」を加えるだけで言葉の意味が変化するように、ほんの少し考え方や工夫をすることで、それまで無理だと思っていたことも、異なる結果に導けるというメッセージが込められています。

教材名の由来に関する詳細はこちらから確認できます。
https://iam-possible.online/aboutus/

また、「障害」の表記については、さまざまな意見がありますが、『I’mPOSSIBLE』日本版では、障害者権利条約の理念に基づいて教材が開発された経緯を踏まえ、国内の法制上の表記に合わせ「障害」が採用されています。

パラリンピックが示す共生社会へのヒント:行動変容を促す学び

様々な障害のあるアスリートたちが活躍できるよう、発想の転換や創意工夫を凝らして、参加の可能性を広げているのがパラリンピックスポーツです。この「創意工夫」こそが、「誰も取り残されることなく、様々な機会が“公平”に与えられる共生社会の実現」に役立つヒントや気づきにつながり、行動変容を促す重要な要素となります。

東京大会をきっかけに、パラリンピックをより身近に感じる機会が増えました。「パラリンピアン、かっこいい!」「感動しました!」といった感想だけでなく、多様性を認め合い、自他共に尊重する豊かな心を育み、共生社会づくりに向けた次世代を育成するために、『I’mPOSSIBLE』日本版を活用した教育活動の推進が期待されます。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77