聴覚障害者が働きやすいオフィス環境の実現へ:オカムラの新たなウェブサイトが示すインクルーシブな未来
2026年7月1日には、民間企業における障害者の法定雇用率が2.7%に引き上げられ、企業には障害者雇用だけでなく、入社後に安心して働き続けられる職場環境の整備がこれまで以上に求められています。このような背景の中、株式会社オカムラは、聴覚障害を持つ社員が快適に働けるオフィスづくりのポイントをまとめたウェブサイト「聴覚障害者が快適に過ごせるオフィスづくり」を公開しました。
この取り組みは、聴覚障害を持つ社員自身の「自分の働きにくさを、オフィスから変えられないだろうか」という想いからスタートしたボトムアップのプロジェクトです。空間デザインや製品開発に携わる社員も加わり、聴覚障害者がオフィスで感じる困りごとを軽減するための空間づくりの考え方が整理されています。
オカムラが公開した「聴覚障害者が快適に過ごせるオフィスづくり」とは?
オカムラが公開したウェブサイトでは、オフィスづくりの具体的なポイントに加え、障害者雇用を取り巻く背景、聴覚障害の基礎知識、聴覚障害者がオフィスで感じる困りごと、そして「デフスペース」という考え方が紹介されています。
この情報は、オフィス移転や改装を検討している企業、人事・総務・DE&I(Diversity, Equity & Inclusion:多様性、公平性、包摂性)推進担当者にとって、聴覚障害者の働きやすさについて理解を深めるための貴重な入り口となるでしょう。
ウェブサイトで提供される資料は、情報入力を行うことでダウンロードが可能です。

障害者雇用率引き上げと、見過ごされがちな聴覚障害者の「働きにくさ」
障害者の法定雇用率の引き上げは、企業にとって障害者雇用をさらに推進する契機となります。しかし、単に雇用するだけでなく、それぞれの障害特性に応じた働きやすい環境を整えることが、持続可能な雇用には不可欠です。
特に聴覚障害においては、段差や通路幅といった目に見える物理的な環境と異なり、視線、音、光など、多様な要因による「働きにくさ」が存在します。これらの困りごとは周囲から気づかれにくい場合も多く、オフィスづくりにおける課題として十分に認識されず、具体的な改善が進みにくい傾向がありました。
オカムラは、これまでに培ってきたオフィスづくりの知見を活かし、聴覚障害を持つ当事者だけでなく、その上司や同僚も、障害の有無にかかわらず一緒に働きやすい職場環境の実現を目指しています。
聴覚障害者のためのオフィス改善ポイントと「デフスペース」の考え方
聴覚障害者がオフィス内で感じる困りごとを軽減するための具体的なポイントがウェブサイトで紹介されています。これらのポイントは、聴覚障害者の身体感覚や生活様式を起点に空間を考える「デフスペース」の考え方に基づいています。
デフスペースとは?ろう者の視点から考える空間デザイン
「デフスペース」とは、ろう者(聴覚障害を持つ人)の身体感覚や生活様式を起点に、空間や環境をデザインする考え方です。聴覚情報が制限される分、視覚情報が非常に重要となるため、見通しの良い配置や、光・音への配慮などが含まれます。これは、多様な人々が利用しやすいデザインを目指す「インクルーシブデザイン」の一環とも言えます。
具体的なオフィスづくりのポイントの一例
ウェブサイトで紹介されているオフィスづくりのポイントには、以下のようなものが挙げられます。
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曲がり角を丸くする: 曲がり角で人にぶつかりそうになる状況を減らすため、対向者が見えやすいように角を丸くすることで衝突を防止します。
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パネルやブースを設ける: 視覚情報に敏感な人(視覚過敏)のために、光や色、動きなどの視覚情報を適度に遮り、不快感や疲労を軽減する空間を提供します。
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足音が響かない床材を使用する: 固い床での足音が気になる場合や、自分の足音がうるさくないか心配な場合に、メイン動線に足音が響きにくいカーペットタイルを使用します。
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カーテンやブラインドを設置する: 外光や照明が人の背面にあると逆光となり、相手の表情や手話が見えにくくなることがあります。利用者が窓からの採光を自由に調整できるよう、カーテンやブラインドを設置します。
インクルーシブな職場環境を目指す企業へのヒント
オカムラのこの取り組みは、単なる製品提供に留まらず、多様な人々が共存し、それぞれの能力を最大限に発揮できる職場環境を創出することの重要性を示唆しています。聴覚障害者の働きやすさに焦点を当てた今回の情報公開は、企業のDE&I推進における具体的な一歩となり、誰もが安心して働き続けられる社会の実現に貢献するかもしれません。
オフィス環境の改善は、社員のエンゲージメント向上にも繋がり、企業の競争力強化にも繋がる可能性があります。今回の情報が、よりインクルーシブな職場環境を目指す企業にとって、新たな気づきや具体的な行動のきっかけとなることを期待します。

