障害福祉の現場が直面する課題:就労機会の創出と身体負担軽減

障害者通所施設は、一般就労が難しい方々に対し、企業からの受託作業などを通じて就労機会を提供し、社会参加を支援する重要な役割を担っています。しかし、リサイクル業務や資材の分解・運搬といった作業には身体的な負担が大きく、体力や身体の状態によっては対応できる業務が限られてしまうという課題がありました。

このような状況の中、2026年7月には民間企業における障害者の法定雇用率が2.5%から2.7%へ引き上げられる予定です。これにより、障害者雇用の対象企業はさらに拡大するため、福祉施設における働き方や支援のあり方は、一般企業における障害者雇用や職場環境整備を考える上でも、貴重な参考事例となるでしょう。

社会福祉法人友愛学園が実践する「マッスルスーツ」活用事例

東京理科大学発スタートアップの株式会社イノフィスは、社会福祉法人友愛学園 青梅福祉作業所にアシストスーツ「マッスルスーツExo-Power ®」を2026年2月に納品しました。

青梅福祉作業所では、箱折りや除草作業、リサイクル活動などを通じて利用者が工賃を得る就労支援を行っています。特に、約30kgの給湯器の分解・分別作業は、持ち上げや移動の際に大きな負担がかかり、職員・利用者ともに腰への負担が課題でした。実際に「腰が痛い」という声が多く、コルセットを使用するケースもあったといいます。

作業員がロールボックスパレットを扱っている画像

また、施設にはダウン症のある利用者もおり、筋力や関節の特性から、重作業では身体への負担や怪我のリスクが高くなるため、安全面への配慮が不可欠でした。

マスクを着用した男性が分別作業をしている画像

マッスルスーツ導入で作業の負担が軽減、働く可能性が拡大

「マッスルスーツ」導入後、青梅福祉作業所の副所長である島田健史様からは、「前かがみや屈伸といった動作が楽になった」「作業が楽になった」といった声が聞かれています。装着も想像以上に簡単で、現場では20代から70代まで幅広い層が日常的に活用しているとのことです。

福祉の現場では、一人ひとりの特性に合わせて働く環境を整えることが重要です。アシストスーツの活用は、身体的な負担を軽減するだけでなく、これまで難しかった作業にも挑戦できるようになり、作業の幅が広がるという点で大きな価値をもたらしています。身体を守るだけでなく、働く可能性を広げるツールとして、同様の課題を抱える施設にとっても有効な選択肢となるでしょう。

身体的負担を軽減する「マッスルスーツExo-Power ®」とは

「マッスルスーツExo-Power ®」は、シリーズ最大補助力を持つ外骨格型アシストスーツです。圧縮空気を使用した人工筋肉が27kgfの補助力を発揮し、重量物の持ち上げや中腰作業での腰の負担を軽減します。介護、農業、漁業、建築業、製造業など、様々な作業現場で幅広く利用されています。

マッスルスーツExo-Powerを装着した男性が箱を運ぶ画像

製品のメーカー希望小売価格は214,500円(税込)で、Sサイズ(150cm〜165cm)とMサイズ(160cm~185cm)が用意されています。詳細については、以下のブランドサイトで確認できます。

マッスルスーツの製品ラインナップを示す図

障害者雇用促進と働き方改革への示唆

社会福祉法人友愛学園の取り組みは、テクノロジーの活用がいかに障害のある方の就労支援を強化し、身体的な負担を軽減できるかを示す好例です。アシストスーツの導入は、個々の特性に応じた働きやすい環境を整備し、これまで困難とされてきた作業への挑戦を可能にします。これは、多様な人材が活躍できる社会の実現に向けた、働き方改革の一環としても注目すべき点です。

福祉施設だけでなく、一般企業においても、アシストスーツのような補助技術の導入は、従業員の安全衛生の向上、腰痛などの労災リスク軽減、そして高齢者や身体に不安のある方も含めた多様な人材の活用につながる可能性があります。誰もが長く、安心して働ける環境を整えるための具体的なヒントが、ここにあります。

アシストスーツを体験できる「神楽坂ショールーム」

株式会社イノフィスは、「マッスルスーツ」シリーズや他社のアシストスーツ、物流系ソリューションの体験・相談が可能な「神楽坂ショールーム」を2025年5月に開設しました。累計35,000台を超える出荷実績を持つ「マッスルスーツ」は、介護、農業、製造、物流、建設など多様な現場で導入が進んでいます。

導入を検討している方や販売代理店候補、報道関係者であれば、実際の使用感を体験することが可能です。ショールームは現在、移転・リニューアルのため一時休館中ですが、2026年4月16日より再開予定です。

現代的な空間の壁に、作業補助用のウェアラブルデバイスや外骨格が複数展示されている画像

神楽坂ショールーム概要

  • 名称: 神楽坂ショールーム
  • 所在地: 〒162-0825 東京都新宿区神楽坂4丁目2−2 森戸記念館3階(東京理科大学13号館)
  • 営業時間: 平日火曜~金曜 10:00~17:00(完全予約制)
  • 予約方法: 予約フォームよりお申し込みください

まとめ:テクノロジーが拓く障害福祉の新たな可能性

社会福祉法人友愛学園による「マッスルスーツExo-Power ®」の導入事例は、障害福祉の現場における身体的負担の軽減と就労機会の拡大が、テクノロジーの力によって両立できることを明確に示しています。ダウン症のある利用者も含め、誰もが安全に、そして意欲的に作業に取り組める環境が整備されることは、個人の尊厳を守り、社会参加を促進する上で極めて重要です。

この取り組みは、障害者雇用率の引き上げが迫る現代において、他の福祉施設や一般企業が多様な人材を受け入れ、誰もが活躍できる職場環境を構築するための具体的な道しるべとなるでしょう。テクノロジーの進化が、障害のある方の「働く」可能性をどこまでも広げ、よりインクルーシブな社会の実現に貢献していくことに、私たちは大きな期待を寄せます。

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findgood

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77