デフリンピックを支える「CHEER SIGNS」:目でみる応援スタイルの革新

応援する人々

聴覚障害アスリートのための新しい応援体験

「CHEER SIGNS(日本語名:サインエール)」は、デフリンピック100周年という節目に合わせて開発された、新しい「目でみる」応援スタイルです。

デフリンピックとは、聴覚に障害のあるアスリートのための国際的な総合スポーツ大会を指します。この取り組みは、音に頼ってきた従来の応援方法とは異なり、誰もが視覚的に思いを届けられるように設計されています。

ろう者を中心としたメンバーや現役のデフアスリートとの共創プロセスを経て生まれたこのアイデアは、社会の包摂性(インクルージョン)ダイバーシティ(多様性)を強力に推進するデザインとして高く評価されました。

受賞実績

  • GRAND PRIX: Entertainment for Sports Stars / Sport

  • GOLD: Brand Experience & Activation Stars / Sectors

  • SILVER: Brand Experience & Activation Stars / Use of Brand Experience & Activation

  • SILVER: Design Stars / Sectors

認知症予防に貢献するAIデバイス「RADIO TIME MACHINE」が最高賞

笑顔の高齢女性とラジオ

過去を振り返るAIラジオで脳を活性化

「RADIO TIME MACHINE」は、過去の西暦にダイヤルを合わせると、その年のニュースとヒット曲をAIが自動生成して紹介する、画期的なAIデバイスです。文章生成AIと音声生成AIを組み合わせた独自のシステムが搭載されており、過去の出来事を振り返ることで脳を活性化させ、認知症予防や心理的安定につなげる「回想法」の知見に着目して開発されました。

回想法とは、高齢者などが過去の経験や思い出を語り合うことで脳を活性化させ、認知症の進行を遅らせたり、心理的な安定をもたらしたりする非薬物療法のことです。

高齢者支援と世代間コミュニケーションへの期待

超高齢社会における高齢者支援や、世代を超えた豊かなコミュニケーションの創出といった社会的課題の解決に挑むこのデバイスは、ニチイ学館の介護施設での導入検証プロジェクトにおいて、利用者様の笑顔が平均8.7%上昇し、身振り手振りが10%増加するなどの結果を示しました。生成AIを単なる効率化の道具としてではなく、人と人との関係性を豊かにする「ヒューマンイノベーション」へと昇華させたアイデアと、高い社会実装能力が評価され、「MAD STARS 2026」の最高賞である「グランプリ・オブ・ザ・イヤー」に選ばれました。

受賞実績

  • GRAND PRIX OF THE YEAR (最高賞): Innovation Stars / Innovation

  • GRAND PRIX: Health Stars / Health & Wellness

  • GOLD: Radio & Audio Stars / Use of Radio & Audio

その他の主要受賞作品:「Fandom Feast(リアタイマクパ)」

マクドナルドのパーティーを楽しむ若者たち

日本マクドナルドの「Fandom Feast(日本語名:リアタイマクパ)」は、画面越しの「推し」とリアルタイムで食事を共にする体験を提供する、双方向型ライブ配信プラットフォームです。ファンが同じ限定メニューを食べながら配信に参加することで、物理的な距離を超えたエンゲージメントとブランドへの愛情を育むという、ファンコミュニティの熱量をビジネス成果に繋げたイノベーションとして評価されました。

受賞実績

  • CRYSTAL: Direct Stars / Use of Direct Marketing

  • CRYSTAL: Commerce Stars / Culture & Context

「MAD STARS 2026」とは

MAD STARS Grand Prix of the Year 受賞風景

「MAD STARS(旧・釜山国際広告祭)」は、2008年に創設されたマーケティング・広告・デジタルコンテンツを対象とする国際的な広告祭です。アジア最大級の規模を誇り、優れた創造性と最新テクノロジーが融合した革新的なソリューションを表彰する場として知られています。

2026年のテーマは「AMPLIFY(アンプリファイ)」で、急速に進化するAIやデジタル環境の中、人間のクリエイティブ・インテリジェンスとテクノロジーの融合、共創がもたらす未来に焦点が当てられました。

TBWA HAKUHODOの社会貢献への取り組み

TBWA HAKUHODOは、博報堂とTBWAワールドワイドのジョイントベンチャーとして2006年に設立されました。博報堂の「生活者発想」「パートナー主義」と、TBWA独自の「Disruption®(創造的破壊)」を融合させ、クライアントのビジネス成長と社会課題解決を支援しています。今回の受賞は、同社が提唱する「新しいルール」を描き出す“The Disruption® Company”としての能力を世界に示したと言えるでしょう。

TBWA HAKUHODOの詳細については、以下の公式サイトをご覧ください。

まとめ

TBWA HAKUHODOが「MAD STARS 2026」で獲得した数々の賞は、単なる広告の枠を超え、テクノロジーとクリエイティビティが融合することで、社会課題の解決や人々の生活の質の向上に貢献できる可能性を示しています。「CHEER SIGNS」はデフリンピックという障害福祉分野における新たな応援の形を提示し、「RADIO TIME MACHINE」は高齢化社会における認知症予防とコミュニケーションの促進に光を当てています。これらの革新的な取り組みが、今後の障害福祉分野や高齢者支援の発展に寄与することが期待されます。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77